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我妻善逸という鬼殺隊士は、兎角女性に目がない。無論ある程度の例外はある。若いと言っても若過ぎては対象に入らないし、女と言っても大変な醜女であれば眼中に入らない。自分に正直なので、対象にも眼中にも、入れないのではなく入らないのだ。
そんな彼も最近はとんと求婚の機会が無く、何なら対象となる女性にも御無沙汰だった。那田蜘蛛山戦を生き延び運び込まれた蝶屋敷には、たくさん女の子が居た。女の子は居たのだ。でも、胡蝶しのぶはいつも怒っている音がしていたし、栗花落カナヲは何を考えているのかまるでわからないし、神崎アオイは普通に苦手な種類の女子だったし、三人娘に至っては対象に入らない。善逸も人並みにああいう子どもを可愛らしいと思うけれど、対象になるかは別の話だ。禰豆子ちゃんにも会えないし。
そんな善逸が遅ればせながら機能回復訓練に参加し始めたばかりの日、蝶屋敷を、彼の鎹雀の訓練士だという人が訪ねてきた。しのぶにそれを言われた時は勝手にやってくれと思ったが、綺麗な女性ですよなどというしのぶの口車にほいほいと乗せられ、是非とも御挨拶をと俄然前のめりな二つ返事である。
「お初にお目に掛かります、私は」
「初めまして!俺は我妻善逸と言います!どうぞよろしく!!」
「はい、よろしくお願い致します。私は烏匠の烏丸と申します。」
花でも有れば差し出しそうな勢いで善逸が猛烈な挨拶をしたその相手は、果たして、姿勢の良い年若い女性だった。見目の方は、しのぶのように特別に整っているわけではないが、反って丁度良いくらいだし、涼しげな目元にもどこか柔らかさがある。普段は村の
「烏丸さん!?烏丸さんって言いました??」
「はい、烏丸Aと申します。」
「俺は我妻って言うんです!俺達の苗字とっても似ていません!?これは運命だと思うんですがどうでしょう!?」
「運命。」
「そう!例えば結婚して苗字が替わっても何にも違和感がありません!!」
「結婚。」
目を丸くして鸚鵡返しをするAは、善逸の言っている事の意味などこれっぽっちも解らなかったけれど、彼女は鬼狩り様を神格化すらしている節があるので、本来抱くべき筈の失礼だなどという感想も抱きようが無かった。それで、しのぶが呆れて止めに入るまで、善逸は延延と求婚を続けたのだった。
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あさ(プロフ) - 光華さん» コメント自体は本当に有り難く嬉しいので、どうかお気を悪くされない事を祈ります。再度、コメントありがとうございます (2020年8月7日 7時) (レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
あさ(プロフ) - 光華さん» 頻繁に改行をするものではなく、この書き方は私のポリシーとして出戻る前から確立されています。幼い頃から沢山の本を読み漁って確立された価値観ですので、申し訳ありませんが変える事は出来ません。占ツクでは万人受けしない事は承知の上ですが、ご理解お願いします。 (2020年8月7日 7時) (レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
あさ(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。有り難い御意見ではあるのですが、途中で書きました通り指数が毎話ギリギリになってしまっていて、改行分の字数すら惜しいくらいになっています。それから、私の中での文章や小説というものは、(例によって字数が足りませんので続きます) (2020年8月7日 7時) (レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 行間をもう少し空けたらどうでしょうか (2020年8月7日 6時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
あさ(プロフ) - stereogirlさん» コメントありがとうございます!とても励みになります。割とこだわっている部分なので、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますのでお付き合いお願いします。 (2020年7月15日 0時) (レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさ x他1人 | 作成日時:2020年5月28日 1時