星 ページ39
カランコロン___
『いらっしゃいませ』
???「あ、すみません」
遠慮がちな声で話しかけてきたのは、自分と身長が同じくらいの男性だった。黒縁眼鏡をかけ、髪にふわっとウェーブがかかっている。
『どうされましたか?』
男性「あの、現世から花が届くって本当ですか…?」
『あぁ、はい!そうですよ。お供えされた花はこちらに届くようになっています。お客様のお花もお探しましょうか?』
男性「はい、よろしくお願いします」
変わらずどこか不安そうな男性に椅子に掛けて待っていてもらうよう言うと、私は貯蔵庫に向かった。
真っ暗な中貯蔵庫の電気をカチッとつけると、中央に青を基調とした花束がポツンとあった。
『これだけしかないからきっとこれだな…』
猫「ねえ、それ何の花?いっぱいあるけど……」
『うお!びっくりした…え、いつからいたの?』
猫「最初から。で、何の花?」
猫は一度質問したら答えてくれるまで離さないし、答えなかったら機嫌を損ねる。まるで星の王子様のようなやつだ。
今回はこの星のような花の名前が知りたいようだ。
『これは勿忘草。普通に野草として生えてるよ』
猫「え、そうなの?ちょっと見つけてくる!!」
そして一度思い立てば即行動。ほんとに不思議なやつなんだよなぁ。
猫を見送ってカウンターへ戻ると、男性は外を見ていた。
『あの、見つかりましたよ』
男性「あ、すいません!ありがとうございます。………勿忘草…」
彼は受け取った花束を見つめながらボソリと呟いた。と同時に、ポテッと涙が一粒落ちたのが一瞬見えた。
男性はその涙を無理やりグシグシと袖で拭き、もう一度外の方に顔を向けた。
「それから、さっき猫が外へ飛び出していきましたよ?」
『あ、いいんですいいんです。帰ってくるんで』
咄嗟に答えたが男性は不思議そうな表情をしている。それはそうだ。猫にはしつけができないのだから帰ってくるなんておかしな話だ。
『こほん……では、』
ちょっと調子をくじかれてしまったが、気を取り直して話し出した。
『あなたが生きていた頃を教えてください。それがお代となります』
勿忘草の花束なんて……よほどメッセージを込めたのだろう。だから少しドキドキしている。
男性「はい」
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クルイ - リクエスト、ありがとうございます! (2021年12月2日 18時) (レス) id: 6c77753d41 (このIDを非表示/違反報告)
からちゃ(プロフ) - パトさん» パトさんありがとうございます!なるほどNGワードですか…確認します。期待に応えられるように頑張ります! (2021年5月15日 12時) (レス) id: 1908544fd9 (このIDを非表示/違反報告)
パト(プロフ) - NGワードとかが入っちゃってる感じですかね……? ごめんなさい、コメントしておいて何ですがよく分かりません。この作品、とても好きなので一刻も早く更新が再開できるようになることを願っております! 体調に気を付けて頑張ってください! 応援してます! (2021年5月14日 21時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - ありがとうございます! (2021年5月14日 18時) (レス) id: 08c098a676 (このIDを非表示/違反報告)
からちゃ(プロフ) - 莉亜さん» 遅くなってすみません!今さらですが、この作品は完全オリジナルなので煮るなり焼くなり好きにしていただいて結構です!早くに返信できなくて本当にすみません、、、 (2021年5月14日 18時) (レス) id: 1908544fd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:からちゃ x他1人 | 作成日時:2020年9月24日 21時