お揃い ページ30
女の子「…………ふふっ」
すると、女の子は微かに笑い声を漏らし、にこっと表情を和らげた。…………マジで一瞬だけだったけど。
『あは、やっぱり笑ってる顔が可愛いな』
女の子「……!」
素直に可愛いと感じたからそのまま伝えただけなんだけど、瞬時に女の子はクエスチョンマークな顔つきに変わり、しばらくフリーズ中。
『………ええっとね……にこにこしてるといいなあ〜………なんて意味だったんだけど……』
女の子「………」
あれ?これやっちゃった感じですか?一言も話さなくなったんですが??
女の子「あの………」
女の子「お花は………」
『へっ?………………あ、忘れてた……!』
『ごめんね!持ってくるからね!』
忘れるなんて、なんてことを……
トケイソウ、トケイソウ!と忘れないように頭の中で連呼しながらダッシュした。
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『持ってきました……………』
息を切らしながら来たもんだから、足がふらついてしょうがない…………けどそれどころじゃない。
私が持ってきたのはトケイソウと、もう一つ。
女の子「それは何?」
『うん?あぁ、これね。このお花はねぇ………』
私の手には、黄色くて、小さな小さなお花が。
雪が降っても咲き誇る、まさに春の訪れを告げる幸せの象徴。
『____フクジュソウ。これは福寿草って言うんだよ』
誰からも愛されなかった貴方に受け取って貰いたい。
どんなに苦しい環境でも凛として咲く、この黄色い優しさを。
女の子「初めて見る……」
『どうかな?あなたにピッタリだと思ったんだけど』
女の子「ぴったりなの?」
『うん。このお花は二月に咲き始めるんだけど、雪に埋もれても咲く強い花。昔から福を招く花として、縁起が良いと言われてきた花………
周りからどんなに酷いことをされても、自ら命を絶つことは無かった。
…………勇気ある強いあなたにそっくりでしょう?』
私は最も美しい瞬間を切り取った福寿草を、女の子の目の前に差し出して見せた。
彼女はまあるい目を見開いて、しげしげと見つめ、くすりと笑った。
女の子「おそろいだね」
もうさっきの様な怯えた様子は無かった。
小さな幸せの花を前にして、ゆるやかに微笑んでいる。
____貴方に永遠の幸福を。
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福寿草の花言葉:幸せを招く,悲しき思い出
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クルイ - リクエスト、ありがとうございます! (2021年12月2日 18時) (レス) id: 6c77753d41 (このIDを非表示/違反報告)
からちゃ(プロフ) - パトさん» パトさんありがとうございます!なるほどNGワードですか…確認します。期待に応えられるように頑張ります! (2021年5月15日 12時) (レス) id: 1908544fd9 (このIDを非表示/違反報告)
パト(プロフ) - NGワードとかが入っちゃってる感じですかね……? ごめんなさい、コメントしておいて何ですがよく分かりません。この作品、とても好きなので一刻も早く更新が再開できるようになることを願っております! 体調に気を付けて頑張ってください! 応援してます! (2021年5月14日 21時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - ありがとうございます! (2021年5月14日 18時) (レス) id: 08c098a676 (このIDを非表示/違反報告)
からちゃ(プロフ) - 莉亜さん» 遅くなってすみません!今さらですが、この作品は完全オリジナルなので煮るなり焼くなり好きにしていただいて結構です!早くに返信できなくて本当にすみません、、、 (2021年5月14日 18時) (レス) id: 1908544fd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:からちゃ x他1人 | 作成日時:2020年9月24日 21時