Dainty Love 3

106 ページ7

.





洗面所で手を洗ってたら、瞬が寄ってきた。





瞬「ねぇ」



『ん？』



瞬「今日、なんで来たの？」





あー



私が今までさんざん、実家に帰ることを拒んでたから

突然自分から帰ってきて驚いてるんだろう。





『もうさすがに言わないと、限界かなって』



瞬「…バンド活動のこと？」



『それもあるし…ツアーの間の大学のこととか』






瞬が何か言いかけたのと同時に


リビングの方から「瞬、冷蔵庫からケーキだしてー」って聞こえた。





瞬「姉ちゃん帰ってくるからって、ジョトーのケーキ買ってたぜ」



『マジ？ラッキー♪』





去り際に「俺も助け舟出すから」って親指を立てた。




ほんと、いい弟を持った。





.






リビングに戻ってくると、いつの間にかお父さんもいた。



「おう、おかえりA」って軽い感じで言って、コーヒーを飲んでる。


まるで、毎日帰ってくるみたいな。






瞬「姉ちゃん、モンブランじゃんけん」



『へ…？』



瞬「一個しかないから」



母「瞬、今日ぐらい譲りなさい」


瞬「えー」







こんなに和やかな家庭だたっけ…？




さんざん身構えて来たから、逆に違和感。





瞬が受験生だから気を遣ってるのかな。


…私の時はそんなことしなかったのに。






.






ケーキが美味しくなくなると嫌だからと思ってたら


話すタイミングを逃したっぽい。




瞬の受験も絡んで、大学の話になっちゃった。


…切り出しづら。







私が「うん」とか「そうだね」とかしか言わなくなると、


見かねた瞬が「ちょっとトイレ」っと、席を外した。








.

107→←105

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す