Dainty Love 3

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[Suguru side]





AGILE PIKAの“The Biggest Rock〜初めましてですTOUR”


初日参戦。




ライブとか行ったことない俺にはよくわかんないんだけど…


初日取れたのはいいことらしい。




行きたいとは言い出したものの、

勝手がわからないからバンド好きの従兄弟に付き添ってもらう。






.









Aは地元じゃすっかり有名で、



高校時代の友達がこぞってハマり出した。




…まぁ、そうだろうな。






俺達の高校は相当の進学校だったけど、


Aは他の理系女子となんか違って…



勉強にガツガツしてなくて多才で、




誰にでも好かれてた。









一つ、Aとの印象深い思い出がある。








同じマンションに住んでた頃、たしか高１の冬。



俺が塾から帰ってくるとエントランスのソファに寝てる奴がいて。





俺はそんなお人好しじゃないけど、さすがにほっとけなかった。


…これじゃ不審者だし。




とりあえず肩を叩いて起こして、事情を聞いた。



そしたら






『お父さんが出張でお母さんが知り合いの結婚式行ってて弟がサッカーの遠征で…』



す「家に誰もいないのに鍵を忘れた、と？」



『…うん』


す「あ〜…今までそこにいて不審がられなかった？」


『さっき来たばっかりだから大丈夫』




一晩ここで明かすつもりかって聞くと、

平然とした顔で頷いた。



一応顔見知りではあったから、結局俺ん家に泊めることになったんだけど。


春に独り立ちした兄ちゃんの部屋が空いててよかった。







マンションのエントランスで夜を越そうとしてたような奴が


一流のバンドマンになったのか…




かわいいとかかっこいいとかさんざん言われてても

俺にはまだあの日の記憶が生々しくて



笑えるw





初めて買ったグッズたるＴシャツを着てる自分も

なんか笑えるなぁ…








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