Dainty Love 3

117 ページ18

*




意外と安全運転な涼。




乗り物酔いがそこそこ激しい私だけど

むしろ眠いくらいに静か。






.







涼「みんな、今頃寂しがってるだろうな」



『そうだと嬉しいな』




涼「蓮、めっちゃ調子に乗ってたねw」



『そうだね。でも大人しくなってたら逆に怖いし…変わってなくてよかったw』






ぽつりぽつりとしか話さないから


眠くてしょうがなくて。



今にも瞼が落ちそう。







あ、ヒロさんに返信でもしておこうかな。


そう思ってスマホを取り出そうとすると…







.涼「ねぇ」



『ん？』



涼「バンドやっててもAは俺達の…友達だよね？」



『え…、そうだよ？』



涼「有名になってもここに帰ってくるよね？」



『もちろん』



涼「…そう。よかった」




『どうしたの、急に』




横を見ても、金髪が顔にかかってて

高い鼻しか見えない。



どんな表情してるのか見えない。







.







涼「今のうちに言っておこうかなと思って…」



『うん…』







涼「俺、さ。Aのこと好きなんだよね

中学から…ずっと」






『……』






涼「だから…大地のこと、正直羨ましい」






『………』






.





涼「…ごめん。何でもない」









.





沈黙してしまった。


咄嗟に何か返せるほど、私は器用じゃない。




それに、今の私は…



ヒロさんしか見れない。





.








『…ありがとう』






かろうじて、それだけ。







涼「……」





涼は気まずそうに、さらに髪を顔にかけた。



前髪の隙間から睨むように、ただまっすぐ前方を見てる。




昔からシャイだから…







『私はどこに行っても何してても変わらないよ』






って、付け加えた。








.





“付き合ってほしい”って言われたわけじゃない。



“好きだ”って気持ちを伝えてくれただけ。






だから…



“ありがとう”でいいよね。






下手なことを言って涼を傷つけたくなかった。






ましてや








14歳も上の人を好きだなんて、


言えるわけがない。









.

118→←116

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す