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永瀬side
永瀬『Aちゃん、ごめんよ遅なって。やけどの手当てしよっか、』
消灯時間が少し過ぎた頃。
なかなか個別で話す時間も取れんくて、最後の手段で消灯時間直後の訪室を狙うことにした。やけどの手当もまだみたいやったし。
永瀬『お昼、寝ちゃってた?、笑、ほんなら、寝るんちょい時間かかるかもやなあ、笑。』
『……ずっと病院いると、寝ちゃうんです、』
永瀬『せやんなあ、体調さえよかったらプレイルームとか使わせてもらう?、ゲームとか本とかあるし、気分転換なるんちゃうかな、』
『……ん、』
永瀬『……笑、お薬塗るな、沁みんからそんな体きゅってせんで大丈夫、笑。』
『……』
永瀬『はーい、じゃあちょっと包帯だけ巻いとこか、……ん、変な感じせえへん?大丈夫かな、』
『だいじょぶ、ありがとう、』
永瀬『いーえ。笑、……Aちゃん。食べんの怖くなっちゃった?』
『……ぇ、』
永瀬『お昼も夜もあんまり食べれてへんかったから心配しててん。お腹空いてへん?、何かちょっと食べる?、』
『……っ、ぐすん、っ、』
永瀬『……大丈夫、大丈夫やで、よしよし。しんどかったなあ、』
こぼしたり、迷惑かけたり、嫌な思いをするんが怖かったんやろう、食事量が減っていてやんわりそれに言及すると、感情が溢れたみたい。
自分が自分の体じゃないみたいで怖い、人前に出るのが怖い、って。
そっと背中をさすりながら、言葉が出てくるのを見守る。
『……っ、わたし、っ、ごはん、どうやって、食べたらいいですか、っ、』
永瀬『……そうやんなあ。不安なるよなあ。
一回先生からお話あったと思うけど、もう一回お話してもいい?、』
『……ぃ、』
永瀬『うん、まずさ、ミオクロニー発作っていうのは、……』
受け入れ難いかも知れんけど、大事なことやから。彼女の中にゆっくり、何回でも落とし込めれたらいいな、と。発作が出やすい時や、発作が出たらどうしたらいいか、治療方針まで。
永瀬『火傷とか怪我してAちゃんが痛い思いすることは、お薬がちゃんと効いてるって分かるまでしばらくやめとこう。
けど、食べれるもんは我慢せんでええし、発作に対応するためにも試行錯誤はしていこ?、溢しちゃったり、汚れちゃうのは何にも気にせんでええから。
とはいえ気にしちゃうよな、笑』
『……ん、っ、』
永瀬『……大丈夫よ、不安やんな、…ちゃんとサポートするからな、あんまり心配せんで。
お腹空いてへん?、プリンとかゼリーとか持ってこよか、』
『……』
永瀬『俺一緒におったらちょっと安心できる?、なるべく零さんようにサポートするけど。』
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作者名:柊架 | 作成日時:2023年12月23日 0時