彼らが紡いだ物語たち。 (ページ9)

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なんで、なんで。

死ぬ事が怖い。まだ生きていたい。もう死にたい。まだ、まだ……

そらるさんと…

『…っ。』

こんな時にまで、出てこないでよ。

私の人生を、これ以上狂わせないでよ。

なんでそらるさんのことが頭の中で離れないの。早く出てって。

かちゃ。

玄関の鍵が開く音がした。

『だ、れ…』

「Aっ、いた、良かった…」

なんで来たの。

もう来ないでって言ったでしょ。

関わらないで。

そう言う、はずだったのに。

私はいつの間にか、彼のされるがまま。

腕の中に閉じ込められて、泣いている彼がうわ言のように私の名前を呼ぶのを聞いている。

…今日、どうしたんだろう。

何故か、彼の体温が心地いい。暖かくて、安心する。

ここで生きてる。鼓動してる。それが無性に愛おしい。

『…愛お、しい…？』

ああ、もうぐちゃぐちゃだ。

もう分からない。

私は結局、どっちなんだ。

生きたいのか、死にたいのか。

私は彼の背に腕を回して。

やっと、やっとわかった。

たった一つだけ、自分の思いが。

『そらるさんが、好き。』