彼らが紡いだ物語たち。 (ページ5)

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それで、ボクは…多分1番、彼女に近かった男だと思います。

みんな下心が隠しきれてなくて…

でも好きって言えませんでした。自信もなかったし、日に日に増してく恋慕と劣情に戸惑って。

学校では、こんなの教えてくれないじゃないですか。教科書にも、載ってない。

だから余計に、わかんなくなって。兄さんや家族にも言いたくないしで。

だからずっと、口元に残したまんまで。…ほんっと、男らしくないですよね。

だからボクは、彼女が誰かと付き合っても、それでいいかなって。知らないフリしようって思ったんです。

それで、彼女との約束のために…友達との約束も全部断ったし、睡眠時間削って電話したりしました。あの子、ボクより全然夜行性だったから。

ほんと、Aと他の誰かとか…天秤にかけるまでもないですよ。かけられた側なんて軽い羽レベルです。軽い羽。

それでも、彼女がボクに振り向くことは、ありませんでした。

それは…彼女が交通事故で、植物状態になったからです。