✰*。 ページ3
『あのね、私。実は、もう余命が残り少ないの。』
あーあ、言っちゃった。
こんなの、誰にも言いたくなかったのに。
「…A、今日エイプリルフールじゃないよ？全然秋だけど。」
『こんなしょうもない嘘つかないよ。…ほんとにほんと。』
嘘でしょ、ねえと私の肩を揺さぶってくるそらるくん。
その瞳には少し涙が浮かんでいて。
私はごめん、ごめんと謝り倒すことしか出来なかった。
私は泣くことないのに、彼が泣くから私も泣いてしまった。
「なんでっ…そんな大事なこと俺に言ってくれないの…」
『ごめんね。そらるくんのこと傷つけたくなくてっ。』
「…俺は、言われなかったことの方が傷つくよ。俺、そんな信用されてなかったかな。」
Aに信用されたくて、俺あんなに頑張ったのに。と続けるそらるくん。
信用してない訳じゃないよ。そらるくんのことが大切だから言えなかったんだよ。とは言えなかった。
何故か、なんて分からない。でも何故か、私は言えなかったんだ。
そして、たった2人しかいない教室は、校舎は、世界は静まり返る。
その重い沈黙を破ったのは彼で。
「…もうすぐAが死んじゃうのはわかった。受け入れる。」
「だから、俺のお話、聞いてくれる？」
『うん、いいよ。』
彼は大きく息を吸って、そして言った。
「俺さ、Aのこと好きだよ。…もう、わかってると思うけど。」
「だからさ、Aが生きてるあとほんの少しの間だけでもいいから、俺と付き合ってくれませんか。」
突然の告白に、私は戸惑った。
でも、彼が私に「ほら、答えを聞かせて？」と言うから、私は微笑んで言った。
『うん、こんな私でよければ。』
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作者名：リリー | 作成日時：2022年1月3日 4時
