彼らが紡いだ物語たち。 (ページ1)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:217 hit

◆ それは永遠のようなページ1

『…ねぇ、そらるくん。』

「なぁに？A。」

そう私に聞くのは隣の席の一ノ瀬彼方くん。

空を見ることが好きだからそらるって呼ばれてる。

『急にこんなこと言ったら、驚かせちゃうと思うんだけど、いいかな。』

「ん、いーよ。別にどんなことでも受け入れるから。」

私と彼は、4ヶ月ほど前の席替えで隣の席になった。

最初は、別にクラスの中心って訳でもなければ、とんでもなくモテてる訳でもない彼のことをなんとも思っていなかった。

むしろ高校2年生という思春期真っ只中の今、女ウケを気にせず目にかかりそうになるまで前髪を伸ばしている彼を見て、冴えない人だなとすら思っていた。

でも、違った。

実際に話してみると、彼は本当に優しい人だった。

私が消しゴムを忘れて慌てふためいているとすかさず貸してくれた。

私が少し体調を崩して保健室に行くと先生に伝えると付き添ってくれた。

それに、彼は馬鹿正直な人だった。

嘘をつくことができない、優しくて馬鹿正直なそらるくん。

いつの間にか、彼の一挙手一投足を目で追っていた。

「ふふっ、どしたの。なんかあった？」

『いや、その…やっぱり、言おうか迷っちゃって。』

「えーなにそれ。なになに、好きな人の話、とか？」

違う、と否定することができなかった。

だって私、本当にそらるくんのことが好きなんだから。