的中 鯰尾side ページ27
「ふわぁ〜……」
大きな欠伸を一つして、寝ぼけ眼で廊下を徘徊する。
物音一つしない深夜二時。普段ならとうに夢の中なのだが、何故だか目が覚めてしまった。
ふと足を止め、何気なく夜空を見上げた。
満月だ。雲がかっていないので、月明かりだけで充分のようだ。
瞬きをしたその瞬間、視界の端で何かが動いた。
嫌な予感がして咄嗟に頭を抱えしゃがみこむ。
そして、大きな爆発音を立てて熱波が押し寄せる。
「熱っ……！」
しばらくして目を開けると、本丸の所々が破損しており地面にもいくつか穴が空いていた。
しかし保護結界が張られているおかげで被害は最小限に抑えられた。
庭に出ると、見慣れた姿が垣根の上にあった。
『なーんだぁ。もっと壊れるかと思ったのに〜……』
幼い子供が不貞腐れるような口振りで言う彼女は、間違いなくAだった。
先程の爆発音で他の男士たちが部屋から出てくる。勿論、戦闘服に身を包み、各々が抜刀した状態で。
『みんなおはよ〜どうこれ。目覚ましにピッタリじゃない？』
Aの問いに、誰も口を開かない。
当然だ。一部始終を見ていた俺でさえも理解が追いついていないのだ。
平野の予感は的中していた。虫の知らせとは少し違うが、今夜俺が目が覚めたのもこれが起こるためだったからなのかもしれない。
長谷部「貴様！ 自分が何をしたのか分かっているのか！？」
『え？ 勿論分かってるよ。私は主様のためにやった。ただそれだけ』
俺たちを嘲るように不気味に笑う彼女に背筋が凍る。
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作者名：まじゅっちゃん | 作成日時：2021年7月1日 17時
