対立 宍戸side ページ23
自室で書類整理をしていると、晴人さんからメールが送られてきた。
内容を読み、情報収集の為データ保管室へ向かう。此処には、私たち役人でも閲覧禁止のデータが保管されている。
基本、不要不急な入室は禁じられているが、必要緊急時であれば入室が許可されるのだ。今は必要緊急時。データ保管室に入ることは許されるだろう。
パスワードを入力し、速やかに呪術や薬品のデータを探す。
探し出したデータたちのUSBをパソコンに繋げ、次々とコピーしていく。
コピーしている最中に、パソコンの画面に映し出された資料に目を通す。
「他に手下はいなさそうか……」
首謀者は高橋で間違いないが、あの爆発で手下は全員巻き込まれて死亡した。今のところ高橋の崇拝者はいないと考えて良いだろう。
戸田「此処は必要緊急時以外、使用禁止ですよ？」
「！？……何ですか？」
振り返ると、壁に肩を預けて腕を組んでいる同期の戸田の姿があった。年齢は私の方が年下だが、雇われた時期が同じなので同期と言えるだろう。
「その言葉、そっくりそのままお返しします」
戸田「高橋様とブレードについて調べてるんですか？」
「傍観者の貴方には関係の無い事じゃないですか」
コイツはAちゃんが暴行を受けていた時、いつも笑いながら傍観していた。Aちゃんが助けてを求めても、手を差し伸べることは無かったという。
戸田「そんなことをしたところで無意味でしょうけど。そういうの、墓穴を掘るって言うんですよ」
「いちいち突っかかってくるの止めてくれます？ 構って欲しいなら他を当たって下さい」
戸田「私はあくまで、助言をしているだけです。あぁ、お子様にはまだ難しい言葉でしたかねぇ」
言ってくれるじゃないの。
嘲笑しながら私を見下す戸田を睨み上げる。
お互いが威嚇し合い、火花がバチバチと散る。
「そんなお子様に技能で負けてるんですから、訓練したらどうですか？」
同じように嘲笑し返すと、戸田は虫酸が走ったような顔をして舌打ちをした。
戸田「年下と言えど、態度をわきまえた方が良いですよ」
見下した眼差しのまま鼻で笑うと、データ保管室を出ていった。
「……っのクソ野郎」
机に拳を叩きつけると同時に、データの移行が完了したので元の場所に戻して部屋を出る。
机が少し凹んだなんて、私にとっては知ったことではない。
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作者名：まじゅっちゃん | 作成日時：2021年7月1日 17時
