違和感 ページ2
到着したのは、都市部から少し離れたところにある比較的綺麗な廃校だった。
この廃校は解体作業の話が出ているため、沢山暴れても問題ない。
校舎に足を踏み入れると、嫌な空気が肌に触れて気持ち悪い。
こんな場所での戦闘は早く終わらせてしまおう。
顔をしかめながら昇降口を通り抜けた。
『……あれ？』
校舎内を巡回していて気付くことがあった。
時間遡行軍が一体も現れないのだ。時間遡行軍特有の邪気も感じ取れない。
これはさすがにおかしい。情報伝達のミスか。
情報を確認する為、目の前に画面を表示させると大きな影が私を覆った。
振り返ると、太刀が大きく振りかぶっていた。
すぐさま本体でガードする。
この時間遡行軍、力が今までより強い……！
刀を弾き返し、近くの教室に転がり込み距離をとる。
教室の影から湧いて出てくる時間遡行軍たち。
短刀二体に脇差三体……動きにくいな。
教室内に机椅子が四十。足場も悪く幅が狭い為、自由に動き回れないのだ。
机を飛び移り、間を詰めて斬っていく。
しかし短刀や脇差にでさえ、以前より格段に討伐するのが遅れていた。
そこでようやく気が付いた。
時間遡行軍が強いんじゃない。私が弱くなったんだ。
じっとりと手に汗をかく。
何で……！？ 鍛錬を怠っていないのに……！
余計なことを考えていたせいで太刀に蹴りを入れられ、机椅子の山に頭から突っ込んだ。
『いったぁ……』
机椅子を蹴飛ばし立ち上がる。後頭部を触ると、先程の衝撃でたんこぶが出来ていた。
とにかく今は目の前の太刀を倒さなきゃ。
床を強く蹴り、正面から斬りかかる。
何度も刃が交じる。それを受け止める度に圧がかかるように重くなる。
重、い……
何度目かの刃を弾き返し、後方によろめいたその隙を突かれ、腹部を斬られた。
『……つぅ』
鮮血が足を伝う。
『手間、かけさせないで！』
会心の一撃を喰らわせ、何とか討伐し終える。
『いったた……』
途端に膝をつき、腹部の傷口を手で塞ぐ。
傷が深いせいで、血は止まるどころか溢れて血溜まりを作りはじめる。
とりあえず帰還しよう。きっと手入れ部屋が空いているはずだ。
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作者名：まじゅっちゃん | 作成日時：2021年7月1日 17時
