1_01 rainy… ページ1
ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ…
「っ、うるせぇ…」
俺はそう言ってアラームを止め、大きく起き上がると、小さな頭痛に襲われた。
あぁ…今日は雨か…
俺は小さい頃から偏頭痛持ちで、雨の日は毎日のように頭痛がする。
それだけじゃない、俺は身体が弱く、中学のときも
寝込んで学校に行ける日は少なく、友達はあまりいなかった。
そんな悲惨な思い出に浸りながら、ベッドの横に常備してある頭痛薬を口に放り込み、ゆっくりとベッドから降りた。
そして、俺は引き出しから食パン1枚と冷蔵庫からジャム、牛乳を取り出し、頂きます、と食べ始めた。
こんな簡単で栄養が少ない食事で済ませているのは、元々母子家庭で、母さんは出張に行って今は家に俺一人だからだ。
その証拠に、台所の横にあるゴミ箱には大量のカップ麺が入っている。
父親の分まで働いてくれて、俺が寝込んで、辛くてもめげずに頑張れたのは、このためだ。
そんな恥ずかしい言葉を心の中で呟きながら、食器をかたずけ、歯磨きを済ませると、ピーンポーン、と毎日恒例の音が鳴り響いた。
モニターを確認すると、今が朝だと思わせないぐらい輝かしい満面の笑みをうかべた男が立っていた。
『しょぉーーたーー!おっはよーー!入学式早々遅刻するぞーー!急げー!』
そう、この信じられないぐらい元気な男、こいつは佐久間大介、同級生だ。
佐久間とは中学からの付き合いで、見ての通りとてつもなく元気で、あまりクラスに馴染めなかった俺としつこいぐらい仲良くしてくれた。
まあ、佐久間は結構優しくて友達思いなやつ、なんて本人に行ったら舞い上がって今よりもっとまとわりついてきそうだから、これは心の隅においておこう。
「はいはい、おはよ、もうすぐで準備終わるからちょっと待ってて」
そして、今日は入学式で、俺の高校生デビューの記念日だ。
まあ、正直クラスに馴染めるかは不安でしかないが、俺の相棒の佐久間がいるから、なんとかなるだろう。
そう自分の心を落ち着かせ、ボサボサな頭をある程度整え、制服に着替え、家をでた。
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作者名:トマト x他1人 | 作成日時:2022年10月15日 7時