【9】呼び名 ページ9
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「雅紀！」
久しぶりに部活がない放課後。
友達と適当に時間をつぶした後に家に帰る道をぶらぶら歩いていたら、後ろからよく知っている声が俺の名前を呼んだ。
「今帰り？今日早いね」
「今日部活なくなったの」
夏服のセーラー服を着た、Aが俺の隣に並んだ。
「雅紀と二人で帰るの、すごく久しぶりな感じする」
「そうかもね」
ずっと俺のことを「まあくん」と呼んでいたAは、去年から「雅紀」と呼び方を変えた。
最初のほうはよく間違っていたけれど、最近はすっかり定着したようだった。
ヨコともAとも、いつも通りよく会っていたけれど、通う学校が違うと本当に生活する時間が違っていた。
特に、こうやって肩を並べて学校から帰る、ということはほとんどない。
だからなのか、制服を着たAはとてもかわいく見えた。
「ねえ、今日夜雅紀んち行っていい？」
「いいけどどうしたの？」
「歴史教えて」
「またあ？」
歴史ほんとにだめなの！全然覚えられないの！
小テストがあるんだ、とAが嫌そうな顔をして続けた。
「雅紀の歴史の話、先生より面白いんだもん」
「歴史いいじゃん。何がそんなに嫌いなの」
「嫌いじゃなくて、覚えられないの」
ねえいいでしょ雅紀。
今日は戦国時代の話をもう一回して？
うちの学校の女の子たちより長いプリーツスカートが揺れる。
肩で切りそろえられた黒い髪が揺れる。
「やっぱ、その制服似合う」
「ほんと？」
嬉しいな、と俺を見上げるAが、この日本当にかわいく見えた。
「･･････」
なんだこれ。
「雅紀は夏服と冬服、どっちが好き？」
あんなに自分の名前を呼ばれることに嫌悪感を感じていたのに、今は全くそうじゃない。
「どっちも好き。夏服はなんか青春って感じする」
「あー、雅紀っぽい！」
俺の顔を覗き込みながら、Aが「雅紀」と呼ぶと、なんだかそれはとても特別な感じがした。
「久しぶりにヨコも呼んで勉強しよっか」
「あ、そうする！そうしたい！」
「じゃあ晩御飯終わったら俺んち集合ね」
「わかった！」
Aの家の前で「またあとでね」と別れたあと、Aが家に入るのを見送っていたら
「雅紀！」
振り向いて俺の名前を呼んだ。
「なあに？」
「ありがと！」
それだけ言って、玄関に吸い込まれていった。
Aが雅紀って呼ぶから、他の子には呼ばれるの嫌なんだ。
そう気がついた。
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りりい(プロフ) - トリコさん» そうなんです。まだ高校生(笑)どれだけもやもやしてるんだって話です。ほんとに先が長い(笑) (2017年1月25日 22時) (
レス) id: e73758d9c4 (このIDを非表示/違反報告)
トリコ(プロフ) - 結末わかってるのに、切ない‥あぁ、まだ高校生（笑) (2017年1月25日 22時) (レス) id: e2f01403b4 (このIDを非表示/違反報告)
りりい(プロフ) - 空さん» 空ちゃん！久しぶり！うわあ嬉しいです。そして小鳥コメありがとう。そうなの、私も小鳥の虜です。すずめかわいいよすずめ＞＜。分かち合えてよかった・・・！！(震) (2017年1月17日 22時) (レス) id: e73758d9c4 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - 新しい環境で大変なこともあるかと思いますがまた楽しみにしています！小鳥さん、初めて見たんですけど、腹がよじれるぐらい笑いました！完全に小鳥さんの虜です（笑） (2017年1月17日 19時) (レス) id: 82d00ff767 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - りりいさん、お久しぶりです！覚えていらっしゃいますでしょうか…？またりりいさんの作品が読めること、とても嬉しく思っています。うだうだの方は二度見…いや三度見しましたw(続く) (2017年1月17日 19時) (レス) id: 82d00ff767 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りりい
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=lily1022
作成日時：2017年1月16日 23時
