𓍯𓈒𓏸︎︎︎︎ ページ2
「お断りいただいて、いいのですよ。私は所詮、穀潰しの邪魔者でございます。ハルの手助けがなければ、外に出ることも、生きることもできません。それに、津山様のお相手をすることもできません。」
女の表情が一瞬変わった。眉を寄せて、柔くあげていた口角が下がった。この女は俺と似た境遇にあるのだ。家族からも疎まれ、自分の居場所を探している。俺にとって軍が居場所だが、家の中で後ろ指を指されて生きているこの女にはそれがないのだ。
鷹山家は関東でも有名な貿易商であり、海軍、陸軍共に懇意にしている。津山家としても繋がりが欲しいのは分かっている。息子が二人いて、既に跡取りもいるそうだ。三人いる娘の内、二人は既に嫁いでいて最後に残ったのが、二番目の娘である、鷹山サエという女だった。祖父に見せられた見合い写真では淑女という言葉を体現したような姿をしていたが、蓋を開けてみればめくらでありながら、自分の立場を理解し、甘んじることなくいる強い女だった。
見合いの後祖父と家路に着き、部屋に呼ばれて向かう。
「お前は、鷹山家のご息女をどう見た」
「賢い女性だと思います」
「それは分かっているが、目が見えないのでは……」
「お爺様、私となぜ彼女を見合わせたのですか」
俺の言葉に祖父は片眉を上げて、睨む。
分かりきっていることだ。余り物同士、疎まれ者同士を一緒にして、そのまま家の繋がりを持ってやろうという魂胆は見えきっている。
「今回の縁談、もう一度彼女に会ってから決めさせてください」
はっきりと俺が言うと祖父は目を見開いて、それからそうか、そうか！お前はやはり変わり者だ！！と膝を打って豪快に笑った。
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曽根崎(プロフ) - ｲﾃﾞさん» コメントありがとうございます！なかなか書くのが難しい津山ですが、楽しんで読んでいただけて嬉しいです☺️ゆっくりではありますが、更新を気長にお待ちいただけたらと思います。 (11月11日 14時) (
レス) id: 8bc1808701 (このIDを非表示/違反報告)
ｲﾃﾞ(プロフ) - 映画の一面だけでなく原作も交えてくださっている素敵なお話を書いてくださりありがとうございます！この作品の更新通知が来るのがとても楽しみです！今後どうなっていくのかな⁇とわくわくしながら更新待ってます。無理なく更新続けていただけると幸いです。 (11月10日 0時) (レス) id: 302d90b890 (このIDを非表示/違反報告)
曽根崎(プロフ) - みるく?さん» コメントありがとうございます！津山って原作だと色々バックボーンが分かるんですけど、映画だと冷たい人に見えますよね。きっとこんな彼もいたんじゃないかなって思って書いてます。これからもよろしくお願いします！ (11月4日 12時) (レス) id: 8bc1808701 (このIDを非表示/違反報告)
みるく?(プロフ) - 映画を見て津山夢探していましたが、素敵な夢をありがとうございます！映画では冷酷に書かれていた津山の優しさにきゅんとしました。更新を楽しみにお待ちしております。 (11月4日 7時) (レス) @page16 id: d41930f707 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：曽根崎 | 作成日時：2023年10月31日 19時
