リルティングアワー9【BE:FIRST】

怪物、この空気どうする ページ40

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スタジオがなんか、気まずい空気である。

てっきり好感触で報告を受け入れるもんだと思っていた凌輝は、Aの肩を抱いてスタジオ入りしたかと思うとその直後に聞いたことないドスの効いた声で「事件だお前ら」と残りのメンバーに声をかけた。




「俺ね、君を描けば嘘になる、原作読んだのよ」

「おお〜流石れお！」

「南條遥都役がフミくんなのはマジなの？」

「う、うん。……どうしたん、目据わってんで」




光のない礼王の視線に慄く。

凌輝に促されてAの口から伝えられたご報告に、どうもメンバーの空気がおかしい。殺気だっている人が何人もいる。「(みんなフミくんのこと嫌いなん、？！)」礼王と会話しながら いつの間に？とAは内心震えていた。




「あの男か」

「Jのあの男呼ばわり草」

「真顔で草とか言うんだ」




小さく漏らした声をしっかり拾い上げたのは真人だ。樹音の言い返し通り真顔の彼は 礼王と同じようにちゃっかり原作本を読了していて、今のドラマよりもさらに重い愛の物語の相手役を具体的に聞かされて大変複雑な心中になっていた。




「なんなのお前とフミくん仲良すぎだろ」

「びっくりよな〜、決まってすぐ連絡くれたんよ。でもフミくん一緒で安心するしよかっ……」

「あー、良い良い、」

「？」

「お前が他の男と仲良い話なんか知りたくない」

「なぁ(笑)えってそういうの(笑)」




そーたくん直ぐ嫉妬するやん。とAはケラケラ笑う。
また心の中で「(映画のプロモーション バレンタインの時期近いなぁ)」と思いついたりもしたが、口に出すのはやめておいた。

舜斗も竜平も黙り込んでしまっている。
日高さんはこの顔を目に焼き付けておけと言ったの？困ったなぁ…。




「フミくん嫌いなん？」

「……そうじゃないって分かって聞いてんだろお前」

「へへっ」

「嬉しそうだなぁ？」




困った困った、と思いつつ顔をにやけさせた。一瞬本当に嫌っているのかとも思ったりしたが、彼らのこれがただの“嫉妬”であることはすぐにわかった。
来週放送されるドラマの最終回で女子がギュンギュンするような告白シーンがあるが、それを見て壮大は正気を保っていられるのだろうか。

Aがそんな事を考えつつ笑顔のままチラリと舜斗の方に目をやれば、こちらもこちらでムスッとした顔でスマホをいじっている。
映画が決まったときはあんなに喜んでくれたのに、なんてわかりやすい幼馴染なの。……とAは考えているものの、彼女が理解している心情は、きっとほんの一面しかないのだ。




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