怪物、からのご報告 ページ39
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これは2023年夏の終わり頃のお話
Aは考え込んでいた。数時間前に自らの社長が楽しそうに言っていたことの意図が、いまいちよく、分からないからだ。
『お相手の方、ミヅキからみんなに教えてみてよっ!』
あーれはなんか、悪いこと企んでいる笑いだったなぁと頭の中で日高の顔を思い浮かべる。正式に決まったことだし、彼に言われなくても今日か明日あたりにメンバーに話すことになっただろう。
いや待てそういえば夏ドラマで誰と共演するかは、こちらが言うよりも先にみんな知ってたなぁ…『ソウタさんに鬼の形相で問い詰められて話しちゃいました』ってマネージャー陣の誰かが言っていた。鬼の形相?どうゆう流れでそうなった?
「……さん、…………ミヅキさん」
「、ん。ついた?」
「はい。……お疲れなら10分このまま仮眠しても、」
「だいじょぶ。ありがとぉ」
Aを乗せた車は都内の某有名制作スタジオに着いた。個人仕事の現場からのハシゴは 今となっては慣れてしまったルーチン。
自身が主演を務める夏ドラマもいよいよクランクアップして残すは番宣のみ。と思えばほぼ差し込みで映画の撮影が1ヶ月詰め込まれて、シングル発売があって、BMSG FESが迫っていて、ツアー準備があって。
専属マネージャーが顔色を窺って仮眠を進めてくるのも当然だ。ここ数週間Aはまともに眠れていない。舜斗と礼王がほぼ毎晩のように家に来て、身の回りのお世話を焼きながら少しでも彼女の睡眠時間を確保しようと動くくらいには、寝る暇がないのだ。
『相手役聞いたら良いリアクションくれると思うんだよねぇ、ミヅキ、目に焼き付けておいで』
建物の廊下を歩きながら、またしても日高の言葉が頭を流れていく。良いリアクションってなんだろう…フミくんとメンバーって仲良かったっけ?ああそうだ、りょーきくんが元々知り合いだったよね。
そうだったそうだった、と無理やり納得をつけた丁度そこに、男子トイレから欠伸をしながら彼が出てきて Aを見つけた瞬間にパッと笑顔になった。
「おはようA〜フリ入れ間に合ったじゃん」
「おはよっ!ね、丁度りょーきくんのこと考えてたの。映画の相手役フミくんだったよー」
「あっ、」
「………………………………フミくん、だと」
社長の言葉の意図をちゃんと理解していた専属マネージャーあっくんは、あまりに唐突なご報告に Aの後ろで小さく声を上げる。
そして凌輝といえば。
彼女に対してはあまり見せないような鋭い目と低い声で、その禁断の名前を鸚鵡返しで呟いた。
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くぼりや最推し(プロフ) - リルアワ10!楽しみにしてます!! (4月17日 22時) (レス) id: 90a2e6930a (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - kikiさん» こんにちは〜!ソウタは色んなことがすーぐお顔に出てしまうのに、きっと特別なメンズBESTYにいち早く気付いて、ちょっと間我慢してたけど耐えらんなくなったんだろうなぁと思います(笑) (4月7日 22時) (レス) id: 45623bbec3 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - お久しぶりです!最新話のソウタの顔があまりにも簡単に想像できてしまって思わずコメント欄に来てました…🤦🏻♀️ (4月2日 22時) (レス) @page46 id: e7b97053e4 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - くぼりや最推しさん» クレヨンの握り方もどうせ子供っぽいモンちゃんです。お絵描きのときはやたらと幼女の雰囲気。いえいえこちらこそありがとうございます。 (4月2日 21時) (レス) id: 45623bbec3 (このIDを非表示/違反報告)
くぼりや最推し(プロフ) - はううかわいい、、グッズ考えてるときの子供のようなモンちゃん大優勝でした。カプ大渋滞ウェルカムです!!!いつもコメントまで丁寧にお返事していただきありがとうございますー!!! (3月31日 11時) (レス) id: 62f89a7c15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2023年12月26日 18時