相棒、可愛いエンカウント ページ25
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ある日、自主トレーニング終わりでリハーサルスタジオに訪れた真人は、扉を開けて中の光景を見た瞬間思わず口角を緩ませた。
「おーん?なにしとん?」
「可愛いやろ〜」
「……見せたくて構えてたの?」
「んふーっ」
スタジオの床にペタッと座ったAが、両腕に大きめのポケモンのぬいぐるみを抱えてこちらを見ていた。ピカチュウと、なんだっけ、ホゲータ的な。ポケモンGOに出て来ないから自信ないなぁと思いつつ、なんか見たことある緑色の猫みたいなやつと 見るからにみずタイプっぽいのが足元にもちょこんと置かれている。
それから、
「俺これ知ってる。フシギダネ、ゼニガメ」
「ヒトカゲ!」
「たくさん貰ったね」
「好きなの持ってって良いよって言ってくれてなぁ…どの子も選べんからみんな連れて帰ってきちゃった」
「(たのむ。俺もお持ち帰りしてくれ)」
真人は思わず口を滑らすところだった。
Aの周りを囲うように、ポケモン達がコロンっと床に転がっているのだ。家にぬいぐるみが溢れかえることもよく考えずに、その真ん中で満足げにしているからタチが悪い。こんな可愛い子に“どの子にするか選べない”などと言われれば、オーキド博士も喜んでさいしょのポケモン全てを差し出すだろう。現に 今日の午前中に彼女と仕事をした先方スタッフさんは、ご覧の通り全匹お譲りしたようだ。
「(くそぅ)」と思いながら真人はスマホを取り出す。流れるようにカメラアプリを起動させてAに向ければ、彼女は 待ってました と言わんばかりにギュとピカチュウとホゲータを顔のあたりに抱き寄せた。
「おれゼニガメがいいな」
「……やだよぅ、全部わたしの子だもん」
「ははっ。なんの撮影だった?」
「ポケモンの日に出る動画の撮影」
「ポケモンの日…?」
「ダンス踊ったんよ、見る?」
待ってポケモンの日ってなに?いつ?
一通り写真を撮ったあと、同じように床に座ってゼニガメの頭を掴んでいた真人は眉間にうっすら皺を寄せて首を傾げる。しかし彼女に“見る?”と聞かれれば殆ど反射で「うん」と答えた。
スマホで“ポケモンの日”と調べている間に、スタジオ内に陽気なトラックが流れ始める。クルンっと周りながら立ち上がったAは、曲に合わせてご機嫌に腰を揺らし始めた。
「………勘弁してくれー」
「、ん?なんて?」
「反則だー。やめろー」
「えっ?(笑)なんやねん、変ってこと?」
「最高ってことだよ!」
早めに来て良かった。俺の知らないところでこれを他のメンバーに見せる可能性もあったかと思うと、歯を食いしばってしまいそうだ。
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くぼりや最推し(プロフ) - リルアワ10!楽しみにしてます!! (4月17日 22時) (レス) id: 90a2e6930a (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - kikiさん» こんにちは〜!ソウタは色んなことがすーぐお顔に出てしまうのに、きっと特別なメンズBESTYにいち早く気付いて、ちょっと間我慢してたけど耐えらんなくなったんだろうなぁと思います(笑) (4月7日 22時) (レス) id: 45623bbec3 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - お久しぶりです!最新話のソウタの顔があまりにも簡単に想像できてしまって思わずコメント欄に来てました…🤦🏻♀️ (4月2日 22時) (レス) @page46 id: e7b97053e4 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - くぼりや最推しさん» クレヨンの握り方もどうせ子供っぽいモンちゃんです。お絵描きのときはやたらと幼女の雰囲気。いえいえこちらこそありがとうございます。 (4月2日 21時) (レス) id: 45623bbec3 (このIDを非表示/違反報告)
くぼりや最推し(プロフ) - はううかわいい、、グッズ考えてるときの子供のようなモンちゃん大優勝でした。カプ大渋滞ウェルカムです!!!いつもコメントまで丁寧にお返事していただきありがとうございますー!!! (3月31日 11時) (レス) id: 62f89a7c15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2023年12月26日 18時