ヒーロー、vs番犬 ページ21
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「…………」
「ラーメンいらないの?」
「いる。ねぇ、上手いだろ?俺」
「うん上手」
「味見していい?」
「だーめ」
「おねがい。ちょっとだけ」
「せめてもうちょっと溶かしてからにしよう」
「結構トロトロだよ」
「もっと、」
「…………」
酔っ払いのバックハグが織りなす甘〜い会話の直ぐそばに、禍々しい空気が放たれている。
「……ソウタはどういうつもりであれやってんの?」
「分かんないです」
「俺的に結構やばそうなんだけど」
「ショウちゃんそれわかってんなら止めてくれない?」
「少女漫画みたいでウケるからもうちょい見とくわ」
「今ヲタク出さなくていいから!」
礼王と翔太が無遠慮に視線を送る先には、Aと壮大のイチャチャ(?)を至近距離で睨み上げる舜斗がいた。
両手をポケットに仕舞い 眉間には深く皺を寄せて何度も何度もガン付けている。側から見たらヤンキーのそれ。ただし殺気は只者ではない。
(壮大さんー?!噛み殺される前にAから離れてー?!)
礼王は心の中で叫びそして戸棚に手をかけた。
一年弱同じマンションに住んでいると、Aが袋麺の類をどこに仕舞っているかなども熟知している。「ほーらほら!ラーメン作ろ!醤油か塩か味噌か、どれがいいのかなぁー?」わざとらしく大きい声で気を引こうと動く礼王に 舜斗が「うるせぇ」と呟いた。
うるせぇじゃねーよ。
お前らの平和のためにやってんだよこっちはよ。
危うく礼王の中のヤンキーまで顔を覗かせるところだった。
が、なんとか笑顔を作りグッと堪える。お兄ちゃんだから。
「そーた君、ラーメン作ってあげるから、ね?」
「………」
「じゃあほら舜斗ちょっと場所変わって」
「は?!いや無理絶対やだ」
「俺も舜斗はいやだ。ムキムキだから」
「ああ゙?」
「仲良くしてよぉ 2人でチョコ溶かすの」
「ウイスキー混ぜていい?」
「、っ」
リュウにもあげるんだからね!と注意すれば「わかった」と耳元に口を寄せる。
と、ここで舜斗に我慢の限界が来た。屈強な腕を曲げて肘をAと壮大の身体の間に差し込み「酒クセェよ酔っ払い」と低い悪態を吐きながら2人を引き剥がす。
ニヤッと口角を上げて揶揄おうと舜斗を振り返った壮大だったが、彼があまりに険しい顔をしているので思い直した。…どうやら本気で嫌な光景だったらしい。
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くぼりや最推し(プロフ) - リルアワ10!楽しみにしてます!! (4月17日 22時) (レス) id: 90a2e6930a (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - kikiさん» こんにちは〜!ソウタは色んなことがすーぐお顔に出てしまうのに、きっと特別なメンズBESTYにいち早く気付いて、ちょっと間我慢してたけど耐えらんなくなったんだろうなぁと思います(笑) (4月7日 22時) (レス) id: 45623bbec3 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - お久しぶりです!最新話のソウタの顔があまりにも簡単に想像できてしまって思わずコメント欄に来てました…🤦🏻♀️ (4月2日 22時) (レス) @page46 id: e7b97053e4 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - くぼりや最推しさん» クレヨンの握り方もどうせ子供っぽいモンちゃんです。お絵描きのときはやたらと幼女の雰囲気。いえいえこちらこそありがとうございます。 (4月2日 21時) (レス) id: 45623bbec3 (このIDを非表示/違反報告)
くぼりや最推し(プロフ) - はううかわいい、、グッズ考えてるときの子供のようなモンちゃん大優勝でした。カプ大渋滞ウェルカムです!!!いつもコメントまで丁寧にお返事していただきありがとうございますー!!! (3月31日 11時) (レス) id: 62f89a7c15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2023年12月26日 18時