相棒、無害認定 ページ40
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人間たちが食事を終えると2匹は突然興味を失ったように、少し離れたキャットタワーの上に登って毛繕いを始めた。
毛並みこそ違うものの おそらく兄弟だろうと言われている彼らは、よほど仲がいいのかお互いの毛を舐め合っている。
「もうちょい待てば15出たのに」
「うーん……でも2人の写真撮ろうとしたら画質気になって」
「わからんでもない」
Aが手に持っているスマホは、1週間ほど前に機種変更した“今はまだ”最新機種のpro仕様だ。あと2ヶ月もすれば新しいモデルが発表されるとかなんとか、そんな噂に彼女は聞く耳を持たなかった。
ラグに座ったところからズームをして、毛を繕いあう2匹を高画質で写真に収めている。なんだかもうすっかり親バカという感じで、真人は「ふっ」と息を漏らした。
「もち、むぎ、」
不意にAがまた、あまり聞かないようなソプラノで彼らの名前を呼ぶ。するとすぐに反応して降りてきたのはコムギの方。
彼はどうやら相当な甘えん坊らしい。
触られる前から喉を鳴らして、Aの脚に頭のてっぺんをグリグリと押し付けて『撫でて』と言わんばかりだ。
「……」
「もちは来やんなぁ」
Aが やっぱりと言いたげに呟いた。飼い主以外に人馴れしていない、警戒心の強い雌。呼びかけには気になるようで、香箱座りでジッとこちらを見ている。
「………………もち」
非常に穏やかで空気に溶けそうな声で真人が囁く。するとおもちは座ったままゆっくりと瞬きをした。
(もう一回、)と直感的にそう思う。
「、もち。おいでよ」
Aに語りかけるときのように優しい声。「おっ」とAが驚きの声を出す。キャットタワーの上で今まで座り込んでいた白いのがスッと立ち上がって、真人の目線の下まで飛び降りた。
「………………ほんまに凄い、」
真人が手を伸ばせば触れられる距離まで来たおもちが「んなー」と鳴く。そっと指先を出すとそれに鼻を寄せて くんくんとしたあと、首筋めがけて擦り付ける仕草をした。
Aは思わずスマホを手にする。響いたシャッター音に、おもちを撫でていた真人は視線を上げた。
「、よく撮れてる?」
「うん。こんなの初めてや」
「……シュントに送るの?」
「え、へへっ、」
「ふっ。悪いやつだな」
受け取った相手の顔を想像して苦笑いを浮かべそうになった。(不憫なやつ)と心の中で呟いた言葉と表情は表に出さないまま。
後日、猫を虜にするおやつを買って舜斗がAの家に乗り込んできたのは、想像に容易いお話。
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くぼりや最推し(プロフ) - ヤキモチやいちゃうモンちゃんかわいすぎて一生ニヨニヨ(ニコニコ➕ニヤニヤ))してますわ〜 (4月29日 17時) (レス) id: 90a2e6930a (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - ミリアさん» マジでこちらもいつか絶対書きたかった構図なので、ここか?ここでいいのか…?と思いつつ間違いなく人生の特別な日に放ったわけです!喜んでいただけてよかった!幸幸💫 (12月26日 19時) (レス) id: 8ca703a50c (このIDを非表示/違反報告)
ミリア(プロフ) - ちょっとごめんなさい、えーっと、これは夢ですか?バチイケスーツ姿の男7人とドレスのモンちゃんの構図、ずっとずっと私が個人的に夢に見ていたものでした。ですので思わぬ最高のクリスマスプレゼントにモンちゃん同様言葉を失っております。感涙。白さんに幸あれ... (12月25日 19時) (レス) @page50 id: e9170fcfd6 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - masayo_8さん» 何かと重ねて読んでくださる方がいると思うと、大事大事にしないと…と思いますね。私も作り手ではありますが、幸せになれーと思いながら色々妄想してますよ笑 (12月25日 0時) (レス) id: 8ca703a50c (このIDを非表示/違反報告)
masayo_8(プロフ) - モンちゃんのお誕生日は、つい先日亡くなったワンコのお誕生日と近くて、なんだか他人とは思えなくなります😢お話の中の存在かもしれないけど、幸せであれ!!と願うばかりです💕 (12月23日 20時) (レス) @page49 id: be11c96dd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2023年10月2日 15時