相棒、同種認定? ページ39
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「おもち、警戒心強いんじゃ……?」
「そう、そのはずやねんけど、」
胡座をかいてラグに座る真人の太ももの上に バランスよく鎮座する白いふわふわ。
真人が箸を動かすたびにそれを目で追って、首を伸ばしたり引っ込めたり勝手に忙しそうだ。ちなみに茶色のふわふわは、テーブルの上に飛び乗らないようにAが傍で押さえている。
「マナちゃん、もちに猫だと思われてる疑惑……」
「ええっ俺が?(笑)」
「だってホンマにおかしいもん。私だって膝の上乗ってくることほとんどないのに……」
「……そんなん言われたらくっそ愛着湧く」
言いながら真人はこの日やっと、自分の手のひらでふわふわの毛並みを撫でた。その瞬間「んにゃっ!」と短く鳴きながら振り返るおもち。まるで“触るな”と言われたように見えて、思わず真人は「ごめんっ」と手を引っ込める。
「(文句言いつつどかねーのかよ)」
ちょっかい出し過ぎて逃げられると思ったが、依然として太ももの上から退く気の無いご様子。テーブルの上に乗ったお造りをじっと見つめる顔は、どことなくお澄まししているように見えた。すぐに飛びつかないあたり、賢い子なのだろう。
「猫って刺身あげたらまずい?」
「ちょっとだけなら大丈夫。……むぎ、ほら」
そう言ってAは切り身をひとかけ手のひらに乗せて、コムギの口元にやる。それに気付いたおもちが真人の太ももから飛び降りて、素早くAの方へ移動した。
「(あぁ、)」
突然軽くなった脚に少し寂しさを覚える。
Aの膝に前足をかけて『わたしにも』と言いたげなおもちに、マナトはつい箸先に力を入れて、自分の切り身を小さな欠片に切り分けた。
「もち、」
手のひらに乗せて控えめに発した声にすぐさま反応する白い毛玉。振り返った青いビーズのような目が 真っ直ぐ真人の手を捉えていた。
「わっ、すご」
「もちお刺身好きなんよなぁ」
トコトコ真人の元に戻ってきて、手のひらに顔を埋める。ちょっと指を曲げたら握りしめてしまえそうな小さな頭が、一生懸命口を動かしていた。
「んなぁ」
「……もっと?」
「ははっ」
手元から真人を見上げておもちが鳴く。
言葉ではないはずなのに、不思議と彼女が何を言いたいのか、真人にはわかる気がした。
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くぼりや最推し(プロフ) - ヤキモチやいちゃうモンちゃんかわいすぎて一生ニヨニヨ(ニコニコ➕ニヤニヤ))してますわ〜 (4月29日 17時) (レス) id: 90a2e6930a (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - ミリアさん» マジでこちらもいつか絶対書きたかった構図なので、ここか?ここでいいのか…?と思いつつ間違いなく人生の特別な日に放ったわけです!喜んでいただけてよかった!幸幸💫 (12月26日 19時) (レス) id: 8ca703a50c (このIDを非表示/違反報告)
ミリア(プロフ) - ちょっとごめんなさい、えーっと、これは夢ですか?バチイケスーツ姿の男7人とドレスのモンちゃんの構図、ずっとずっと私が個人的に夢に見ていたものでした。ですので思わぬ最高のクリスマスプレゼントにモンちゃん同様言葉を失っております。感涙。白さんに幸あれ... (12月25日 19時) (レス) @page50 id: e9170fcfd6 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - masayo_8さん» 何かと重ねて読んでくださる方がいると思うと、大事大事にしないと…と思いますね。私も作り手ではありますが、幸せになれーと思いながら色々妄想してますよ笑 (12月25日 0時) (レス) id: 8ca703a50c (このIDを非表示/違反報告)
masayo_8(プロフ) - モンちゃんのお誕生日は、つい先日亡くなったワンコのお誕生日と近くて、なんだか他人とは思えなくなります😢お話の中の存在かもしれないけど、幸せであれ!!と願うばかりです💕 (12月23日 20時) (レス) @page49 id: be11c96dd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2023年10月2日 15時