リルティングアワー8【BE:FIRST】

怪物、は外交官様 ページ31

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2023年12月2日





「モンさんどこ行った？！」

「外交〜」

「またかー、くっそあいつまた俺のリハ着着てってる！」




京セラドームの“BE:FIRST”と書かれた楽屋の前を通ったMAZZELの流輝は、部屋の中から聞こえてきた会話を耳にしてから そこにひょこっと顔を覗かせた。




「なんだ、ミヅキちゃん居ないんっすか」

「………………何用だ小僧」




わざとらしく渋い声で反応したのは、部屋の手前側で1人椅子に座りご飯を食べていた真人。

BE:FIRSTの中でも一際馴染みのある先輩に、流輝はニカッと白い歯を覗かせる。




「暇になったんでミヅキちゃんに構ってもらおうと思って来ちゃいました！」

「はい帰れ〜、アップでもしてこい〜」




そうズバッと返したのは先程“リハ着着てってる！”と苛立ちの声を上げていた壮大だ。口元をニヤつかせながらも、手のジェスチャーは“シッシッ、”と流輝を追いやる様にも見える。

さらにその横には舜斗も付いていて、「構ってもらうって？なに、ゲームでもすんの？俺が相手してやるよ」と低い声で詰めてくる。その提案は優しいようで優しくない。何故なら“コテンパンに負かしてやる”という魂胆が、舜斗の顔からありありと滲み出ているからだ。




「(うわークソ厄介なセコム達〜)」




楽屋の扉の端に手をかけながら流輝は内心ため息をついた。来るタイミングを完全にミスったというか、勢いで目的を口にしなきゃ良かった。これじゃあ今Aが帰ってきたとしても、自分は近寄らせてすらくれないだろう。




「(せめてラン兄連れてくれば良かった)」




オーディションを共にした蘭に対してはこの人達もガードが緩い。という彼の思惑は少々ずれていて、本来事務所の人間なら大抵の相手にはセコム態勢を発動しない彼らでも、流輝は“色々と”やらかし過ぎて警戒の的になっていた。




「……外交ってなんですか？」

「ん？あー、モッテモテの大人気だからね、他のグループの人達と交流してるのよ」




そう答えてくれたのは礼王。一瞬なるほどと流しそうになった流輝だが、その言葉の意味を考えて眉間に若干皺が寄った。




「ええっ、1人で行かせたんですか？」

「んなわけねーだろぉ、うちの1.8m級が一緒」




パーカーの裾をクルクル回しながら壮大が答える。十数分前に『ニコラスくんのところ行ってくるー』と飛び出して行ったAに、無言で後を追った竜平。しばらくして樹音までのそのそ出て行ったが、あれは多分2人を追いかけて&TEAMのところに行ったのだろうと壮大は踏んでいる。



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