リルティングアワー8【BE:FIRST】

ﾋｰﾛｰ、囲っていたい可愛さ ページ19

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「飲みに誘われなくて誰かさんがいじけてるって？」

「…………ねぇーっ、おしゃべり」

「ご、ごめん！」




壮大の腕の中から礼王に文句を言うA。
勇気を出して言ったのに、なんだよ、もう全部聞いてるんじゃんと拍子抜けした。




(飲み会なぁ……)




壮大がAを飲み会に連れて行かないのには明確な理由がある。酒の席に未成年の芸能人がいるリスクもそうだが、なによりアルコールでリミッターが外れた彼の仲間達が、ありえんくらいAを構い倒す光景が目に見えてるからだ。

彼女自身がそれに困るのも嫌だし、単純に、まだ未成年のうちはせめて自分達だけのAでいて欲しい。簡単に外野がお近づきになる機会を俺から与えるかよと思っている。




「そんなに行きたい？」

「…………そーたくんとマナちゃんと、一緒におれる時間が減るのがいや」

「………(わがまま女……)」

「俺は？」

「え、あ、……のんちゃんも」

「は？俺はお前のもんじゃねーし」

「どう返すんが正解だったかだけ教えて」




Aのわがままを上回る樹音の傍若無人っぷりに引く面々。

壮大は口元をヒクつかせながらも、Aの真意を更に引き出すべく問答を続ける。




「忙しくて時間取れないのは大体モンさんの方だけど」

「うん」

「自分に時間があるときは優先して欲しいの？」

「……」

「ん？」

「……そう……」

「なんて？聞こえたかJ」

「いーや」



「っ、そうだよ！……お外で仕事たくさん頑張ってるから、帰ってきたときにみんなとご飯食べないと寂しくてしんじゃう！！」




めちゃくちゃなことを言っているのは自分でもわかっているから、恥ずかしさで今にも逃げ出したかった。

家が近い舜斗や礼王とはそれこそ気が付けば一緒にいる。それだけで充分だと言い聞かせていたのに、寂しさを我慢できなくなってしまったのは、だって。




(みづのだもん)




そーたくんも、まなちゃんも、のんちゃんも、
当たり前みたいにいつも側にあるものだもん。

だから、取らないでと思ってしまった。
こんな醜い気持ち表に出さないで閉じ込めていたい。




「はぁ…」




最初にため息をついたのは樹音だった。
またキツイことを言われるのかと身構えたAだったが、そのすぐ後に軽い笑いが降ってくる。




「流石にかわいい」




やばいどうなってんのこいつ、とAのほっぺを摘んで笑っている。「それなー、」と壮大も同調した。樹音が笑うよりずいぶん先に“可愛い”と思っていたことなど、微塵も口にしないまま。



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