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「……っ!」
「………寝ちゃうの?」
「…は、あ…?………」
わざと耳元で、いつもより低い声で聞いた。
光くんはこれに弱い。大げさなぐらいびくりと肩を震わせて、体がこわばった、光くんの反応を見て確信する。
(あ、やっぱり)
今日の違和感の正体がなんとなくわかった。
なんだかいつもと違うなと、思った理由。
今日の光くんがとにかく“かわいい光くん”だったことに、違和感を覚えてたんだ。
たまにそういう日がある。
甘えたり、恋人みたいなことをしたいけど、恥ずかしくてなかなか勇気が出ないらしい。
そして今日もそうなんだろう。結局夜になっても勇気が出なくて、そういう空気を俺が察してくれるのを、待っている。
(かわいいなあ)
「寝ちゃうんだ?ほんとに?」
耳元で話すのはそのままに、少しからかってみる。
憶測だけど、光くんが暗に、俺を誘ってきたことはわかる。
そしてそれが俺にばれてしまったことが、俺の態度を見て光くんも気づいたんだろう。
羞恥心からか、少し怒ったような声で答えた。
「……ねる」
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作者名:lilly | 作成日時:2018年2月26日 23時