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結論的には、王国兵にラウールのことを告げたのは母ではなかった。
あの朝、母はラウールの悲鳴で彼の様子を見に行った。
その彼の眼は見たこともない色に変わり果て、彼女はパニックになってしまった。
子供を思うあまり、予言の事なんて忘れ急いで医者のところへ駆け込み、状況を医者に話してしまった。
そこでその医者が、ラウールこそが予言の示す九人目だと気付いてしまったのである。
やっと事態に気付いた母は必死で阻止しようとしたものの、止めきれずに王国兵まで情報がいってしまった。
そして、ラウールは王宮へと連れ去られてしまったのである。
「ごめんなさいっ………」
ru「大丈夫だよ母さん、もう謝らないで。」
自分がこうなってしまった原因が母に無いと知って、ラウールは安堵した。
絶えず謝り続ける母に、声をかける。
先程まではありがたかったこの仕切りが、今では憎い。
仕切りさえなければ、すぐにでも母の元に駆け寄るのに。
ru「あっねぇ、母さん門の中入ってきちゃって平気だったの!?」
「え、えぇ。実はあの後また別の兵士さんが来て…国王陛下のご提案で、門の中で暮らさないか、って…」
ru「そうなの!?」
どうやら、“救世主”を産み育てたことが功績として認められ、今までよりもずっと良い暮らしを保証されたらしい。
正直ラウールは、どんなに良い暮らしであるとしても王宮に連れてこられたことは嬉しく思えなかったが、両親が良い暮らしを出来ると聞いて、少しだけその考えを改めた。
……自分さえこの現実を受け入れれば、皆が幸せに暮らせる。
そうラウールは思った。
ru「それなら…良かったよ。」
「ラウール……」
ru「俺は大丈夫だよ!他の八人もみんな優しいんだ。
みんな俺に色々教えてくれるし……うん、大丈夫。」
半ば自分に言い聞かす様に、ラウールはそう言った。
…大丈夫、大丈夫。
いくら考え方や言動が大人びていても、ラウールはまだ17歳。
それも、昨日なったばっかり。
急な環境変化に、平気でいられる方が難しい。
もう少し母と話そう、と思い話を続けようとした時、コンコンとドアが鳴る音がする。
次の人と交代の時間。
大聖堂に来る人があまりにも多いため、一人一人の持ち時間が限られているのである。
ru「…これからも偶にはここに来てよ。母さん達と話したい。」
「…そうね。今度は父さんも連れてくるわ。」
ru「うん、お願い!
……母さん、またね。」
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ゆ(プロフ) - れいあさん» お話書いていただきありがとうございます!更新楽しみにしています! (2020年12月19日 15時) (レス) id: a7e52b77bc (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - ゆさん» 大変長らくお待たせしてしまい本当に申し訳ないです。めめラウのお話書かせていただきました…!全4話構成となります。ご期待に添えていれば幸いでございます。是非この作品をこれからもよろしくお願い致します……! (2020年12月19日 13時) (レス) id: dccccf6903 (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - 晦由さん» いいえ!前からお話の構成は出来ていたのですが、お話の順番の関係で中々公開できず………。本当に申し訳ないです。更新頑張ります!リクエストありがとうございました!!! (2020年12月18日 23時) (レス) id: dccccf6903 (このIDを非表示/違反報告)
晦由(プロフ) - れいあさん» ありがとうございます!正直、忘れられているかと思ってました(笑)2話読ませていただきましたが、続きが楽しみです^^更新頑張ってください! (2020年12月17日 23時) (レス) id: c44f20117a (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - 晦由さん» 大変お待たせ致しました、あべさくのお話続編の方で書かせていただきました!全3話構成の予定です。ご期待に添えていれば幸いです。是非この作品をこれからもよろしくお願いいたします…! (2020年12月17日 23時) (レス) id: dccccf6903 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れいあ | 作成日時:2020年11月21日 19時