lilac (ページ15)

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空は白くて青いからページ15

○MARK

『ここで何してるの？』

「飛行機を見てるの」

『好きなの？』

「ううん、飛行機は好きじゃない」

『そうかな、上から見た空は綺麗だよ』

「じゃあわたしが飛行機に乗る時、隣にいてくれる？」

『良いよ、君の名前もまだ知らないけど』

「わたしもあなたのこと知らないけど、約束から始めてもいいと思うよ」

・

ドアを開ける。今日は風が少なくて、雲もなくて、嘘みたいに青い空が広がっていた。誰も着いてきていないことを2回も確認してから、ドアを閉める。晴れた空は、どこまで見渡せるんだろう。

あの日、はじめて会った日、お互いに何も知らないまま、親指と小指を合わせた。ママとパパを連れて行ってしまう飛行機が嫌いで、その年の誕生日に2人から貰ったと言った指輪は、まだAの指には大きかった。

「うそ、お兄さんだったんですか？」

『良いよ、もうお互いそういうの無しで行こう』

「でも、周りに何か言われないかな」

『その時は俺が守るよ』

会って数十分しか経っていない子にこんなことを言ったのか分からないけど、あの時、青い空に吸い込まれるように、Aは風と一緒に消えていきそうだったから。

ドンヒョクたちと仲良くなって、一度ジェノにつられてマクヒョンと言ってから、そのままAも同じように呼ぶようになった。その時はただそれが愛しかったけど、今ならわかる。Aは、自分で自分を守っていた。女の子よりも俺たちと活動する方が多かったから。外の人たちに、何も言われないように。

ドアが開く音がする。昨日「空を見に来て」とだけメッセージを送った。俺を見つけて、顔が段々と緩んでいく。たくさん言いたいことはあったはずなのに、顔を見ただけで全て吹き飛んでしまった。

なんだ、ただ俺は、会いたかったんだ。春の夢みたいな希望に。春風のような笑顔に。

「ごめん、1人ついてきちゃった」

「うん、ついてきちゃった」

『なんとなくそうだろうなって思ってた』

「やっぱり俺たちは3人で運命なんだよね」

「ドンヒョガ、前と何も変わらないね」

「それって褒めてる？」

「褒めてる、一応ね」

ひょっこりと顔だけを出して、ドンヒョクがにんまりと笑う。太陽が俺たちを照らした。