lilac (ページ13)

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泡のように飛んで行くページ13

○RENJUN

「戻って来たなら会いに来てよ〜」

「ごめんね、オンニたち忙しいかなって」

「呼んでくれたらすぐ行くのに！」

「本当に？明日一緒にご飯食べたいんだけど…」

練習室に携帯を忘れたから、ひとりで人の間を駆け抜けて行く。先輩たちに囲まれている女の子を横目に、お腹が空いて倒れちゃう前に急いでドアを開ける。ソファーに置いてあったのを取って部屋を出て、エレベーターのボタンをカチカチと押す。

「何食べたい？それとも宿舎来る？」

「何でもいいよ、オンニたちと一緒なら」

「なら尚更好きなもの食べないと！」

「Aは辛いもの食べれたっけ？」

『A？』

後ろを振り返る。先輩たちの輪の中の、真ん中。視線に気付いたのか、顔が上がって目が合った。会釈をされた気がして慌てて自分も真似をして、エレベーターのドアが閉まる直前に思い出す。この前のジェミンを。

『ジェミナ！』

「わ、どうしたの？」

「ロンジュナ〜ご飯冷めちゃうよ」

『Aが、』

「なに？」

『Aがいた！』

ジェミンが大きな目を更に見開く間に、ジェノが横を駆け抜けた。ドンヒョクが固まってしまったジェミンを引っ張って、急に自分の意識も戻る。エレベーターに乗っている間何を考えていたかなんて覚えてないけど、ドアが開いて目の前にいたAの手を、ジェノが掴んだ。

「あ、え、びっくりした」

「いつ戻ってきてたの、今までどこにいたの、なんで、」

「ちょ、ちょっと待って、」

Aがぐるりと周りを見渡して、ジェノを見て困ったように笑えば、ゆっくりと誰かが隣を歩いて行く。ジェノがぎゅっと掴んだ腕の先、ジェミンがAの頬に触れて、かちりと2人の目が合った。

「やっぱり、あの時の女の子はAだったんだね」

「わ、ジェミナ？」

「Aのこと、見間違う訳ないもんね」

「うん？」

「おかえりA」

小さく口を開いたまま、Aの目に涙が溜まる。瞬きをしてこっちを向いて、頬に涙を伝わせて、ドンヒョクを呼んだ。久しぶりと言ったドンヒョクの声が少しだけ震えていたことには、隣にいる自分しか気付いていない。

「マクヒョンと運命の再会した？」

「ううん、これから」

「じゃあ俺一緒にいこうかな」

「怒られても知らないよ」