饗宴 2 (ページ6)

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リハビリ2 ページ6

話をする時期に来ていた。

最初のパニックはもう過ぎていた。

「私、看護師さんだったら良かったな」

「今でも包帯の巻き方うまいじゃない」

「お医者さんならもっと良かったのに」

「芙希は癒してくれるよ」

「コックさんでも良かった」

「料理、上手だったよ」

「お手伝いさんなら一番いいかな」

「ははあ家事全般ね」

「美容師さんでもいい」

「月に1回会えるだけか」

「・・・」

「もうないの? 大工さんとか、漁師さんとか」

「新米のピアノ弾きじゃ、何の役にも立てない」

「・・・」

「何にもできないお馬鹿さんて気がするわ」

「・・・」

内田はゆっくりと振り返り、芙希の顔に正面からぴしりと視線を当てた。

底冷えするような鋭い目だった。

「俺に送ってくれた曲、あれは誰が弾いたの。

ピアニストの芙希が、俺だけのために弾いてくれたんじゃないの。

コンサートで大勢の人に聴かせるのもすばらしい仕事だけど、
あれはお仕事で弾いてくれたんじゃないよね？

俺は自分の身と同じように芙希を大事だと思ってるよ。

芙希を誰にも、芙希にも侮辱されたくない。

芙希を侮辱したら、芙希でも許さないよ！

自分のこと、役立たずなんて二度と言わないで！」

初めて聞く内田のきつい言葉だった。

「わかった？」

「はい。・・・わかりました」

芙希は内田の顔が見られなかった。ぽろっと涙がこぼれそうで、見せたくなくて急いで下を向いた。

内田は芙希の頭を抱き寄せ、そっと自分の胸に押し当てた。

「涙って、人に見られたくないよね。でも、いいんだ。俺のところなら。

　芙希、泣いていいんだよ」