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涼太side
『送るよ』
そう言ってAの家の方に歩き出す
帰り道は
あまり喋れなかったけれど
言葉のない空間でも苦痛じゃなくて
ただ隣を歩く姿をみて
顔を合わせて笑い合う
それだけでこの上ない気持ちになる
素敵な時間はあっという間で
もうAのマンションが見える
『それじゃ』
と、別れを切り出した俺に
「あの、」
Aの言葉が待ったをかける
「これ、私からも迷惑じゃなかったらもらってください」
差し出されたAの手にもさっきのお店のショッパーが
それを受け取ると
『中、見てもいい?』
こくんと頷くAの姿を確認すると
袋の中から箱を取り出し開ける
その箱も開けると中に入っていたのは
『指輪…?』
指輪の内側には"STEP"と文字が彫られている
「"STEP"って一歩踏み出すとか上がるとか進歩っていう意味がある言葉なんです」
『いい言葉だね…、大切にする』
俺がどの指にはめようか迷っていると
「指輪をつける指にも意味があるらしいです!」
お家でゆっくり
ネットで調べてつける指決めてください
って言うAに
『わかった、そうする』
そう返した
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作者名:光 | 作成日時:2017年8月30日 0時