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「みゆきちゃーん。完っ全に工場で作ってる食べ物ってないかな?」


「え?」


飛貴の突然の質問に、美幸は目を見開いた。


「ち、ちょっとよく分かんないんだけど…アイスとか、そういうこと?」


「あーね…」


日付が変わる頃、東京の片隅のとあるホテル。


飛貴の体がふかふかのベッドに埋まる。

2人はもうやることをやって、寝るだけなのだが、飛貴には気になることがあった。



「…いいかもねー、アイス」


「…なんの話?」


「んー、ちょっとしたトラウマのせいで、飯が食えない友達がいるんだ……そいつ、俺がいないと…」



飛貴は、そこで止めてニコッと笑った。



「まあまあ、気にしないで。嘘だから。

寝よ?俺、明日も学校だもん」



「何よ!もう〜。飛貴いっつもそうだよね!」



「あはは、ごめん。けっこうリアルっぽい嘘だったでしょ?」





1週間のローテーションで違う女性と眠る自分に心配されるなんて、雄登は相当可哀想だ、と思う。


でも、命の危険にさらされているのは飛貴も同じだ。

色々な女性を抱いた。ただ、居場所が欲しくて。




二年前の『あの事故』から目覚めた時、飛貴は父の顔も母の顔も覚えていた。


記憶の全てを失ったわけではないのに、飛貴は確実に飛貴ではなくなったらしい。


飛貴にとっては今がすべてで、過去のことは何も解らない。

だが周りにとっては過去がすべてだった。


過去を縋り、過去を追い求めていたくはなくて、飛貴は少し家から遠いW大附属を選んだ。


だが、ひとつだけ…ひとりだけ__忘れられない人がいる。

その人の面影を探しながら、一晩の居場所が欲しくて、飛貴はまた新たな女性と寝る。




.

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LIKKA(プロフ) - しぃかさん» しぃかさん…!燕の歌に引き続き嬉しいです(TT)好きと言っていただけて毎回のことながら舞い上がっています…これからもどうぞ、宜しくお願い致します(^^*) (2017年6月24日 21時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - みうさん» みうさん!嬉しいです(T_T)更新頻度ばらっばらですみませんでした…。ファンだなんて本当に光栄です。これからも宜しくお願い致します♪ (2017年6月24日 21時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - くもりさん» くもりさん!覚えています(^ ^)見習うだなんてそんなに大した文ではないです本当に…!暖かく見守ってくださり、ありがとうございました♪ (2017年6月24日 21時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - もえさん» ありがとうございます!嬉しいです(T_T)最後の展開が早すぎるという私的あるあるになってしまったのにそんなふうに言っていただけて感無量です。こちらこそありがとうございました! (2017年6月24日 21時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
しぃか(プロフ) - 完結おめでとうございます!作者さんの作品は本当に大好きで、また好きな作品が増えました!これからも、たくさんの作品読ませていただきたいです!ずっと応援しています! (2017年6月24日 20時) (レス) id: cae14c431b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:LIKKA | 作成日時:2017年5月29日 21時

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