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タクシーが病院に到着した。

飛貴が料金を払う間に、Aはダッシュで病室へ走る。



「なーくん!」







病室に入ってきたAを、直樹はフッと見た。






「……ダメだぁ…」





Aは、直樹の手を握ると泣き出した。






「…泣か、な、いの」




「分かってる…」




「怒られ、ちゃう、よ、ほんとは、いま、会えない、のに」




「分かってるの…」





Aは直樹を何回も抱きしめた。



小さい頃からの“当たり前”、それをしなくなったのはいつからだろう。



いつでもできると知った時?


それとも、ただの兄に対する愛じゃないと気づいてしまった時?





「…あれ?」




棚の上に、ラムネの瓶が乗っている。




雄登に渡したのに…律儀に直樹に返しに来たのだろうか。

そんなはずはない、同じ学校のAに返せばいいのだから。




雄登の通院を知らないAは、やっぱりラムネの魔法は本物だったのだと、冷や汗が出てくるのを感じた。





「…なーくん。口、開けて」


「…うん」


「お菓子、いいかなぁ」


「だい、じょう、ぶ」


「じゃあ…はい」




ラムネを差し入れた。

直樹の口は呼吸器に塞がれている。





「…そう、だ。Aの、友、達の、色黒い、ほう」



「那須くんのこと?」



「……その、子、僕、と似てる」



「え…?」



「寂し、がり。だから、守って、あげてね」




「…わかった。




…なーくんは、寂しがり屋だから、Aがいないとこに行ったら、ダメでしょ?


……絶対に、成功しなきゃダメだよ…」




Aは、直樹の呼吸器を一瞬外してかがんだ。







.

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LIKKA(プロフ) - しぃかさん» しぃかさん…!燕の歌に引き続き嬉しいです(TT)好きと言っていただけて毎回のことながら舞い上がっています…これからもどうぞ、宜しくお願い致します(^^*) (2017年6月24日 21時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - みうさん» みうさん!嬉しいです(T_T)更新頻度ばらっばらですみませんでした…。ファンだなんて本当に光栄です。これからも宜しくお願い致します♪ (2017年6月24日 21時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - くもりさん» くもりさん!覚えています(^ ^)見習うだなんてそんなに大した文ではないです本当に…!暖かく見守ってくださり、ありがとうございました♪ (2017年6月24日 21時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - もえさん» ありがとうございます!嬉しいです(T_T)最後の展開が早すぎるという私的あるあるになってしまったのにそんなふうに言っていただけて感無量です。こちらこそありがとうございました! (2017年6月24日 21時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
しぃか(プロフ) - 完結おめでとうございます!作者さんの作品は本当に大好きで、また好きな作品が増えました!これからも、たくさんの作品読ませていただきたいです!ずっと応援しています! (2017年6月24日 20時) (レス) id: cae14c431b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:LIKKA | 作成日時:2017年5月29日 21時

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