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「大丈夫?疲れたでしょ」
色々と事情を聞かれるのにも付き合ってくれた彼は、学校の最寄りの駅に降り立ち、もう昼じゃん、とぼやく。
「ううん、那須くんが一緒に来てくれたから、へいき。
本当に本当に、ありがとう」
雄登はへえ、と片眉を上げた。
「俺の名前…」
「…知ってるよ!那須くんは、有名だから。
勉強も運動もできて……性格まで良くて、って。その通りだね」
雄登は鼻で笑った。
「…最後のは違う。俺は大した人間じゃない」
「そんなことない!」
「…ふふ。デカイ声出せるんだね、藤井さん」
「そういえば、私の名前……」
「そりゃあ知ってるよ。藤井Aさん、
俺も有名なら藤井さんも有名だ。
その容姿で、知られてないなんてよく思えるよ」
普通なら皮肉めいている台詞と受け取るだろうが、Aは、堂々とした態度の雄登が嬉しかった。
男性は皆、Aの前ではガチガチに緊張しているか、妙に落ち着きがないか、素を見せてくれない。
きっと彼は自然体なのだ。
自分に自信がある人は話しやすい。
「じゃね、俺、2組だから」
雄登と、教室の前で別れる。
「うん!…あの、本当に」
分かってるって、というように雄登が笑った。
「…また話そうね」
その一言も、たまらなく嬉しかった。
.
教室に入ると、後ろの席の飛貴がつんつんとAの背中をつついた。
「なになに?那須と来たっしょ?」
「あ…那須くんが痴漢から、助けてくれたの」
飛貴は興味があるのかないのか、ほえーと呟いてペンを鼻と唇で挟んでそっぽを向いた。
彼いわく、『小顔体操』である。
秀才の那須が有名なら、こちらの天才の浮所も有名だ。
ほぼ勉強はしないが、定期テストは毎回貫徹で100点を取る。
と言っても、後半はテスト中寝るため、学年一位は堅実に全科目で95点以上を取る雄登なのだが。
高校から始めたというテニスでもレギュラーだ。
雄登とは仲良しで、誰にでも好かれる明るい性格をしている。
あまり男子に興味の無いAも、2人のことだけは1年の時から知っていた。
飛貴も雄登と同じように、自分に自信がある。
だからAにとっては話しやすい相手で、四月、高校2年生になって飛貴と同じクラスになると、毎日のように会話していた。
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LIKKA(プロフ) - しぃかさん» しぃかさん…!燕の歌に引き続き嬉しいです(TT)好きと言っていただけて毎回のことながら舞い上がっています…これからもどうぞ、宜しくお願い致します(^^*) (2017年6月24日 21時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - みうさん» みうさん!嬉しいです(T_T)更新頻度ばらっばらですみませんでした…。ファンだなんて本当に光栄です。これからも宜しくお願い致します♪ (2017年6月24日 21時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - くもりさん» くもりさん!覚えています(^ ^)見習うだなんてそんなに大した文ではないです本当に…!暖かく見守ってくださり、ありがとうございました♪ (2017年6月24日 21時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - もえさん» ありがとうございます!嬉しいです(T_T)最後の展開が早すぎるという私的あるあるになってしまったのにそんなふうに言っていただけて感無量です。こちらこそありがとうございました! (2017年6月24日 21時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
しぃか(プロフ) - 完結おめでとうございます!作者さんの作品は本当に大好きで、また好きな作品が増えました!これからも、たくさんの作品読ませていただきたいです!ずっと応援しています! (2017年6月24日 20時) (レス) id: cae14c431b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:LIKKA | 作成日時:2017年5月29日 21時