放課後は/sn ページ23
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キーンコーンカーン
極ありふれたチャイムの音と共に教室を飛び出す。早く、早く学校から出なきゃ。
階段を駆け降りる。……二階…………一階。出口は既に目の前。しかし、
「どこ行くん」
取り分け慎重に通った医務室から出てきた男の声によって、既に逃げられない事を悟った。
男は固まる私の腕を掴み、無理矢理医務室へと引き摺り込んだ。
中に入ると背後で鍵の閉まる音。廊下からは生徒達の帰る声。私、帰れるかな。
「俺んとこ来ずに帰ろうとしとったやろ」
壁に追いやられ逃げ場のない私に、上から圧を掛けるように問いただす。
『い、いや……「言い訳はええねん」
「俺は放課後のこの時の為に一日仕事しとるんや。なのに……なのに、Aが来おへんかったら……生きとる意味ないやん……」
『何もそこまで……』
「いや、俺は本気や。何なら今ここでAを殺して俺も死ぬ」
突然の殺害予告に飛び上がった。私もしんぺいの事は好きだが死ぬ程ではない。逃げなくちゃ。彼の今のこの状態じゃ本当にやりかねない。
彼が何やらごそごそと棚を探り始めた所を狙い、静かに、ゆっくりとドアへと近付き鍵を外す。
後は勢いだ。ドアを素早く開けて走って逃げよう。
そんな私の考えは砂上の楼閣に終わった。
ガンッ
重い金具のぶつかる音が響いた。
ドアが動かない。
冷や汗が吹き出る。
音に気付き振り返った彼の顔には表情が無かった。
「そんな簡単に開くわけ無いやん」
此方へ近付いて来るその手には一本の注射器。強引に私の左腕を掴み其の針先を刺した。
『いっ……』
腕へ少しづつ流し込まれて行く透明な液体を眺め絶望する。針の刺さっている所から痺れ始め、やがてぴりぴりと電気風呂に浸かった様な、そんな微弱な痺れが血液に乗り全身に広がる。
意識が薄れ始める。彼は笑った。
「まだ俺は死なんで良さそうやな」
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作者名：俐狐 | 作成日時：2021年5月30日 12時
