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恒常的安寧の夜/ht ページ18
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静かな浜辺、打ち捨てられた荒屋が一つ。そこに差す月明かりは夜のベールを纏い、冷たい海風を運び込む。
男は其の中で夢を見る。月光を抱き眠る姿は幼子の様。夢現で見た青白く輝く夜光虫は日常の醒めた懐疑の視線共の比にならぬ程美しく、更に深い夜闇へと誘う。
「ずっと……此処に居たい…………」
そんな皮相的で浅薄な考えなど、叶う筈も無く。
「……此処へ来るから悲しくなる」
毎回毎回そう思えども、打ち寄せる波の音に奪われた心はそう簡単には返らない。オピオイドに侵された様に現を忘れ去り、また此処に居る。
朝が来て、再び夜が来る。絶える事無く舞い戻る男は夜。
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作者名：俐狐 | 作成日時：2021年5月30日 12時
