【wrwrd】ファットブルームの憂鬱【短編集】 (ページ15)

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迷妄と金平糖/sho ページ15

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きらきらと格子の間から差し込む光に反射し輝く金平糖だけが私の世界。格子の外が明るくなると同時に何時も一つづつ投げ込まれる。

『……今日は、白か……』

部屋に溢れた金平糖は正に虹色。光の加減でその世界は常に変化する。ファンタジックな幻想に呑まれ白痴などとうに陥っている。いつからか、その金平糖達を踏み抜く素足は痛くなくなった。

只一つ、不満があるとすれば私の両手足から繋がるモノ。それは動く度じゃらじゃらと嫌な音を立て、美しい虹に鈍色の重たい雲をかける。これじゃあ可愛くない。
私の、私だけの世界なんだから完璧じゃないと……。

「今日もお姫様みたいで可愛ええな」

男は、眼に酷く悪そうな程眩しく光るモニターをじっと見つめ笑みを浮かべる。
金平糖？あんなの逃げ出させないためのカモフラージュに過ぎない。あの中に埋まっている監視カメラや、部屋のドアが見つかったら一気に彼女は不信感を持つだろう。

「いつまでも俺だけの箱庭の、俺だけのお姫様で居ってくれよ」

『あっ、今日は……黄色だ』

素晴らしい世界の下にある悍ましい秘密を知らぬ彼女は今日もまた、星屑を集める。