知らない世界 (ページ11)

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2話ページ11

この世界に来てから数日が経ち、いくつかわかったことがあった。

それは、ここの人達は魔法が使えること。

想像したものならなんでもできるらしいけど、得意不得意が人それぞれにあるみたいだった。

中には魔法に頼らない生活を好む人もいるらしい。

そのため科学の発展もしている。

当然の事ながら、2人にそんな力は持っていないので実際に見せてもらった時はその珍しさにテンションが上がった。

そしてもうひとつ、国を守る彼らは常に剣を装備していること。

理由はたった一つ、クシフォスからの侵入者を取り締まるためだ。

決して国民に向けてはならないという掟がある。

エスパーダに飛ばされた嶋﨑と岡﨑はそんな彼らに元の世界に帰る手伝いをしてもらう代わりにその仕事を手伝うことをお願いした。

その初めての仕事がジョウイチロウが館長を務める博物館の警備である。

「うわー、沢山ある……！」

これ、綺麗！と気になった展示品に走っていく。

「斗亜、走ったらアカンで」

ジョウイチロウが優しく叱った。

「ここの展示物はな、古い歴史があるものから、街の人が趣味で制作したものまで幅広いんよ！」

オオハシが隣に並ぶ岡﨑に言う。

「てことは、今日展示する“箱”は街の人達が作ったものなんですか？」

「そうそう、クラフト教室の一貫でね。みんな、デザインがええのよー」

これは俺のやつなー、と指さしながら楽しそうに教えてくれる。

「こたちゃん！見てみて！ジョウくんからもらった！」

嶋﨑は笑顔で手に握っているものを見せた。

それはガラス玉で中には紫色の煙がゆったりと動いている。

岡﨑もジョウイチロウからもらった。

「これな、親が魔法を込めて子供に渡して練習させるやつなんよ。強く握れば使えるから、警備に役立てて」

ちなみに入ってるのは“重力”やから相手を拘束する時に便利やでー、とオオハシが付け加えて言う。

「さて、渡せたことやし。予定通り配置に着くか」

展示室の入口付近に、オオハシと嶋﨑。

展示室の中を見回るのは、ジョウイチロウと岡﨑。

それぞれ配置に着いたと連絡を通信機に入れる。

何事もなく終わりますようにと4人は願った。