- Life is so beautiful - ３ (ページ45)

今日:9 hit、昨日:28 hit、合計:80,635 hit

５ページ45

まさか、彼とこんなことになることになるなんて思ってもなかった。
たった一月、数時間だけの仕事相手だったはずなのに。
それなのに、いつの間にかするり、と心に寄り添って。
気付けば一番近い距離で、こんな風にひとつのベッドに寝転んで同じ朝を過ごすなんて。
そんな事を考えながらまるでアイドルみたいな寝顔をぼんやりと眺めていた。

しばらくすると、私を捕まえて放さない駄々っ子のような篤人くんが身じろいでゆっくりと目を開けた。

「ん……」

ぼぅっと焦点の合わない瞳がじっと私を見て、いつもより深い二重が何度も瞬きを繰り返す。

「……はよ」
「うん。おはよう」
「なにしてんの？」
「見てたの」
「俺をを？」
「うん。篤人くんを」

そう、篤人くんをずっと。
これからも、こうして過ごせたら良いなぁ、なんて夢みたいなことを考えながら。

「あ、もっかいヤりたい、とか？」
「……ばかなこと言わないでよ、もう」

折角、朝寝坊の醍醐味を堪能してるのに、なんて発想！
雰囲気ぶち壊しよ。

「ひ、っで……マジで今からもっかいだって出来んのに……」

だからムードってものを考えてってば。
呆れて視線を逸らして、大きく溜息を吐いたら、懲りない彼が腰に回した腕に力を込めて。
そのまま私の上に圧し掛かってくる。

「しょうがないなぁ……」

呆れモードそのままで、それでも私は彼の背中に腕を回した。

昨日買ってきておいたお気に入りのクロワッサンに、スクランブルエッグとベーコン、昨日のパンプキンスープにサラダ。
作ったというには大げさなメニューだけれども、篤人くんは嬉しそうに椅子に座る。

「あー、朝っぱらから運動したからすげー腹減った」

あまりにあけすけな言い方に、思わず顔が赤くなってしまう。