- Life is so beautiful - ３ (ページ40)

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「変わろうとしていることが、Aさんが自分の人生を捨ててないって証拠だよ。
　大丈夫だよ、Aさんの人生は終わってなんかいないよ」

天から光が注いできたようだった。
篤人くんによって、真っ暗な私の前に、一筋の光がさしている。

感情をぐるぐる巻きにして押さえつけていた糸が、ぷつりと音を立てて切れた。
篤人くんがゆっくりと背中を抱き締めて、慰めるみたいに頭をぽんぽんと優しくたたくから、余計につらくなって、でもうれしくて、後からあとから涙がこぼれてきた。
いくら唇を噛みしめても、体が震えて、嗚咽する声が漏れるのを隠すことができない。

「この５年間は、Aさんがそのことに気づくための準備期間だったんじゃないのかな」

５年もの間、自分の胸にくすぶっていたものの正体が、ようやくわかった。

私は、ただ誰かに言ってもらいたかったのだ。

終わってなんてないと、そう言ってほしかっただけなのだ。

一度収まりかけていた涙が再びあふれてきた。
５歳も年下の篤人くんの懐の深さに、私はただ泣くことしかできなかった。

篤人くんがいなければ再び気持ちが前に向くことはなかった。
心の中で腐敗してどうにもならなかった思いを言葉にすることも、ましてや誰かにそれを伝えることも、何一つとしてできなかった。

私は小さな子供のように、羞恥もなにもかも捨てて、大きな声をあげて泣いた。
篤人くんと会ってからというもの、胸の傷を無理矢理こじあけられるような気がして私はずっと不愉快だった。
けれどもずっとくすぶっていた思いは私の胸に深く沈んで、身体の中で溶けて、涙となって出ていこうとしている。

きっともう、私は大丈夫だ。