- Life is so beautiful - ３ (ページ36)

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「今時、漫画やドラマでだってないわよ、そんな馬鹿な話。
　でもね、実際にあったの、しかも自分自身に降りかかってきた」
「嫌だっていったんでしょ？」
「もちろん、絶対に嫌だって言ったわ。
就職は決まっているから結婚はしない、できない。卒業したら家を出るつもりだって伝えたの」
「それで？」
「その日はそれでおしまい」

高校進学の時のようにまた言い争いの日が始まるんだなって思った。
兄はきっと私の味方をしてくれるだろうって楽観的に考えてた。
当時の兄にそんなことができるわけがなかった。
兄も父の会社の一員で、会社の、一族の方針を知っていたのだから。

「次の日に、内定先の会社から連絡がきたの。父から内定辞退の申し出がきたって」

製薬会社と医療機器メーカー、直接的な繋がりなどなくてもそれなりの規模の会社を経営する父の名は大きくて。

「内定先は、あっさりと私を切り捨てたわ」

そしてその時、私の気持ちも、切れてしまった。

「内定先の会社から連絡をもらって、私、もうどうでもよくなっちゃったの。
　それまでずっと反抗してきて、自由になりたいって闘って、
　ずっとその繰り返しで、疲れちゃったの。
　あぁ、もう、どうやっても私は逃げられないんだって、諦めちゃった。
　私さえ諦めれば、すべて丸く収まるんだったら、もういい。
　自分の人生だけど、もう、いいやって、逃げたの。
　

　そこからは、もうただ言われるままに生きたの。
　ドイツに行くことが決まっても、何も思わなかった。
　どこにいようが、私はもう自由に生きられないのなら、どこにいたって同じなんだもの。
　
　主人のことだって、そう。何も思わなかった。
　この人と結婚しなきゃいけないのなら、それで構わないって。
　どんな人だろうが、そこに私の意見は必要ないって思ったから」

私は、闘うことから逃げてしまった。