- Life is so beautiful - ３ (ページ33)

今日:24 hit、昨日:1 hit、合計:80,622 hit

５ページ33

俺はお茶、Aさんは白ワインで乾杯をした。
その白ワインは一緒に飲もうとAさんが持ってきてくれたものだったけれども、アルコールの苦手な俺は一口でパス。
飲めないことはないんだけど、酔っぱらって寝ちゃうだなんてもったいないことしたくない。
アルコールのおかげか、Aさんはいつもより饒舌だった。

頭が良いんだろうとは思っていたけど、京大を卒業したって！薬剤師の資格があるって！
大学のことはよく分からない俺だってAさんが、すごいということは分かる。
そんなAさんが、今どうしてこんなところにいるのかはまだ話してくれないけど、きっとそれが彼女を縛っている理由なんだろう。

「ねぇ、彼氏もずっといなかったの？」

大学時代はそれなりに楽しんだというAさん。
じゃあ、彼氏もいたの？

「気になる？」
「そりゃあ、Aさんに惚れてますから」

勿論、そうなんだけども。
それ以上に、高校時代に手痛い経験をしたAさんがちゃんと恋愛できたのか心配だったという気持ちもある。
ちょっと妬けるけれども、誰かをちゃんと好きになって、自分もその人も大切にしてくれてたらいいのに。

「一人だけ、いた、かな」

あぁ、よかった、ちゃんと次に進んだんだね。
安堵にも似た気持ちが込み上げてきた。
好きな女の人に対して、こんな風に思うってことはもちろん初めてのことで。
それは俺にとってAさんという人間がどれだけ特別なのかを物語っている。

「でもやっぱり、長くは続かなかった」
「どうして？」
「自分を、ね、見せることができなかったの」

どうしても、自分を曝け出すことができなかったから、ダメになったんだ、と続いた。
ここで不謹慎にも俺の中に喜びの気持ちが湧き上がってきた。

誰にも言えなかったことを、ずっと封印してきたことを俺に話してくれてるのはどうして？