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「ちゃんと洗ってるから、大丈夫。ちょっと大きいだろうけど」
まさか、初めて着るユニフォームがレプリカじゃなくって本物だなんて。
こんなレアなこと、きっと世界中探したって中々いないに決まってる!
思わず笑いが込み上げてしまい、篤人くんが怪訝な目で私を見てきた。
「ありがとう、まさか本物が着れるなんて。
光栄すぎるわ、シャルカーに知れたら大変だね」
「そうだね、だから2人だけの秘密にしよう」
悪戯をする子どものように私たちは笑って、抱き締めあった。
置いてあるものは何でも適当に使っていいからと告げると篤人くんは欠伸をしながらバスルームを後にした。
私は化粧ポーチから簡易のメイク落としを取り出し、アイメイクだけを丁寧に取り去った。
後は篤人くんの洗顔料を借りれば大丈夫だろう。
メイクを取り去った鏡の中の私は、23歳の篤人くんから見たらきっと老けて見えるんだろうな。
当たり前のように歳の差を思い出して心が少し重くなった。
そして、そんなことよりもっと気にすることがあるのに、自分にもまだ恋する乙女の心が残っていることに苦笑した。
篤人くんの使っているシャンプーを使い、ボディソープで身体を洗うと自分から篤人くんと同じ匂いがする。
篤人くんの服を身に纏うとまるで彼に抱き締められた時のように篤人くんを身近に感じた。
それだけで心が甘く疼いた。
髪を軽く乾かし、化粧水代わりに軽くファンデーションだけを塗ってバスルームを出ると篤人くんはまだ起きていた。
いつもの場所に座り、PCに向かっている。コンタクトを外したのか、黒縁の眼鏡をかけていた。
私の気配に気がつき、顔を上げるとニヤニヤと笑った。
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作者名:ユリ | 作成日時:2016年9月17日 17時