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「でも、私なにもできないよ」
「いいんだって、チビたちのまわりでうろうろしてるだけで十分だし」
誘ってくれたのは嬉しいけど、それってあんまりじゃない?
それでも一緒においでと誘う子どもたちに手を引かれて、私も急遽参加。
篤人くんに指示されるままに、子どもたちの周りをうろうろとし、たまに転がってくるボールを蹴ろうともたもたと足を動かす。
自分が思う以上に動かない自分の身体を、それでも動かす。
私、いる意味あるのかなと疑問だったけれども、私の初心者ならではの予測できない動きは子どもたちにとってそれなりに壁になったようだ。
篤人くんが3人の子どもをするするっと交わして、さらっとシュートを決めたりするものだから子どもたちのボルテージは一気に上がる。
最後には私なんて眼中になく、全員総出で篤人くんに群がっていた。
めったにしない運動に私の身体は限界。
途中から篤人くんと子どもたちから離れ、ベンチに座って眺めることにした。
子ども相手でも一切手を抜く気はないらしく、まるで足にくっついているかのようにボールを独り占めしている。
そのイキイキとした顔に、私は時間も忘れて魅入ってしまっていた。
「おーい、Aさんー?」
「え?あっ、ごめんなさい……」
「ぼーっとしてたけど、やっぱり疲れた?」
「まぁ、そんなところ」
運動らしい運動なんて、無縁の生活を送ってきた私なんだもの。
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作者名:ユリ | 作成日時:2016年9月17日 17時