- Life is so beautiful - ３ (ページ19)

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『あー、ウシダだー』

私の膝を枕にうつらうつらとする篤人くんに大きな声が掛けられた。
私と篤人くんのささやかな幸せを邪魔したのは、この間篤人くんとボールを蹴った近所の子どもたちだった。

「ん……？」
『なぁ、今日はアウェーでホッフェンハイムと試合じゃないの？なんでいるの？』
『馬鹿、ベンチ外は連れてってもらえないんだよ、んなこと、きくなよ』
『ウッシーは今、怪我明けで調子がイマイチなんだよ』

子どもたちは篤人くんを前にして言いたい放題。
ドイツ語は分からないという篤人くんに子どもたちの会話が伝わっていないのが幸いだけれども。

のっそりと身体を起こした篤人くんは、子どもたちの方をじろりと睨む。

「言ってる内容は分かんなくても、雰囲気で十分伝わってくるんだよなー
　おい、お前ら、今俺の悪口言ってるだろ。
　はい、Aさん訳して伝えて」
「えっ……」

困惑気味に、それでも篤人くんの言葉を彼らに伝える。
子どもたちはしまったという表情を見せたものの、篤人くんの

「不調の俺でもお前らなんて簡単に止めてやるよ、ほら、かかってこいよ」

という言葉に、一瞬にして顔を明るくして篤人くんのまわりに群がっていった。

「ねー、Aさんもおいでよ。
　さすがの俺も、この人数一人で止めるのはキツイからさー」

まとわりつく子どもたちをあしらいながら、振り向きがてら呼ばれる。