- Life is so beautiful - ３ (ページ1)

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Life 16 ページ1

「でも、そうだな、後悔はしてない。
　ベンチ外だって言われても、
　トップチームから下されようが、
　サポーターから容赦ない罵声を浴びせられたって、」

そこまで言うと篤人くんの声が震えだした。
涙をこらえながら、それでも最後は泣きつくみたいな声になって言う。
膝に置かれた置かれた手が震えていた。

「……そうだよ。
　俺はぜんぜん後悔なんてしてない。
　だって、俺は、サッカーがすげー好きなんだもん」

私は黙ってそれを聞いていた。これが篤人くんの本音なんだ。
どんな苦しかろうが、辛かろうが、
怪我をしようが、思い通りにプレイできなからろうが、
篤人くんがサッカーを嫌いになれるわけがない。

だって、サッカーは篤人くんにとっての人生そのものなんだもの。

篤人くんの喉がひゅうっと鳴った。
彼の中でもやもやしていた何かが、消えていくのが何となく感じ取れた。
篤人くんの涙がぽたぽたとクッションの上に落ちる。
私は彼を抱き締めたくて仕方がなかった。

でも、きっと今彼はそれを望んでいない。
１人で壁を乗り越えようとしているのだから、私の手助けなんて必要ない。

「うん、うん、知ってるよ、篤人くん」

それでも、私は篤人くんを安心させたくてゆっくり頷いた。

「Aさん……」

篤人くんはようやく顔を上げた。

この時の篤人くんを何て表現したらいいんだろう。
あぁ、そうか、憑き物が落ちたようなって、こういう時に使うんだ。

「きっと、もう大丈夫だよ。
　篤人くんは、大丈夫だから」

何の根拠もない。
けれども今の篤人くんの表情を見たら、きっともう大丈夫だってそう思えた。
突然篤人くんは私を抱き寄せてきた。

「ありがとう」

もう篤人くんからはこれまでの迷いとか葛藤とか全部なくなっていて、
私の身体を当たり前のようにやんわりと抱きしめてくれる。

ねぇ、麻也くん、私は篤人くんを助けることができたのかな。