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松川side



わずかに明るかった生徒玄関を抜ければ
廊下は暗く静まり返っている


1歩、1歩と足を進めるたびに心臓の音は速さを増す
静かさとは正反対に、騒がしくなる一方だ





タンタンタンッ


「……ん?」


そんな時、自分以外の音が上の方から聞こえた
Aか?他に生徒は見当たらない

そう考えながら階段の方へと目を向ける




向こうも真っ暗か



まるでこの後の自分を暗示しているような気がして───

「いや、そんなキャラじゃないでしょ、俺」




プッと小さく吹き出す







足音は

もうすぐそこまで来ている







先程までの心臓の煩さはもう鳴りを潜めた様だ
壁にある電灯のスイッチに手を伸ばす








パチン

音とともに辺り一帯が明るくなる



「───っ!!」




視界がクリアになったその時、衝撃が体を襲う
と言っても自分は高校生男子(しかも運動部)だ


被害を被るのは間違いなく相手の方で
尻もちを付きそうになる彼女──A──を受け止める








「……A」

「一静」



心臓がまたうるさく響き始めた

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作者名:ゆう | 作成日時:2018年9月24日 1時

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