秘蜜 (ページ41)

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「どうぞ」

西「こんにちは」

「こんにちは、喉いかがですか？」

西「んー、」

「やっぱり気になりますか？」

西「はい」

「失礼しますね」

西島さんの喉に触れる

繊細な指先に感じる力強い脈拍

受付「先生、少し遅れるみたいです」

「分かりました」

西「混んでますね」

「何故か木曜日混むんですよね」

西「なんかの周期ですかね？」

「そうなんですかね笑」

先生が来るまでの時間をたわいもない話で埋めても

流れる沈黙

「あ、そう言えばこの前タヌキ見て」

みっくんに散々馬鹿にされた話で繋ぐ

西「え！タヌキ？！」

そんなみっくんとは打って変わって
子供のように驚く西島さん

西「もしかして北海道行ったんですか？」

「北海道？？」

西「あ、俺北海道が地元なんですけど
タヌキとかよく見てたんで！」

「そうなんですね！
でも私が見たのは、そこです」

裏庭に続く扉を指さす

西「....えええええ！」

「ちょ、西島さん声が大きいです！」

西「だって」

「「ﾊﾊﾊﾊｯ」」

おかしな空気に２人して笑ってしまう

「そんなに笑わないでくださいよ笑」

西「いや桜木さんこそ！
それにそこでタヌキって....ｯﾊﾊﾊﾊ」

「....良かったです」

西「....え？」

「この前から少し、疲れているような様子があったので」

西「俺、ですか？」

「はい、そう思ってたらやっぱり喉も
だから笑ってくれて嬉しいです」

なにか、ありましたか？と続ける

そんな私に視線を向けて

タヌキの話と同じくらい驚いた顔で

見たことないくらい悲しい顔で

西「日高が羨ましいです」

彼はそう、呟いた