秘蜜

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: Nishijima







　――ピピピピ、ピピピピ....







「っるせぇ」






丸い形をしたそれを掴んで 耳障りな音を止める








焦点の合わない目と覚束無い手は


意識せずともコーヒーメーカーを捉え起動させていた







「...ふぁ」




可愛らしい欠伸に 自分でも驚き



カフェラテを手に 部屋を眺める






昨日の夜と何にも変わりは無い







締め切ったベージュのカーテン





白いソファに





それに見合った机





寝る前と何も変わらない部屋








「俺みたい」





何ら 変わらない日々




自宅と現場の行き来






久しく 恋愛なんてしていない




仕事、仕事、仕事の毎日だ





これまた厄介なのは


好きでやっているというとこ






恋愛よりも



仕事






それが今の 俺の軸であって本質






なんて朝から 物思いに耽ていると






「....っやべ」







俺をいつも急かす時計は



家を出る時間をとうに指していた

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