永瀬くんは、ニセのプリンス様【1】 (ページ32)

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早く午前終わんないかな。

早く浴衣脱ぎたいな。

そんなことばかり考えながら

体育館前を通りすぎようとした。

…そう言えば。

ピタッと足が止まる。

体育館と言えば、

永瀬くんのクラスは劇だったはず。

少しだけ立ち寄ってみようかな。

ふと思い立って、少しだけ覗こうと

体育館の中へ入って行った。

あ「うわ、すっご…」

中へ入ると、人と人で密集していて。

そのほとんどが

きっと永瀬くん目的の女子なんだろう。

人と人との隙間から頑張って舞台を覗く。

白雪姫が婆さんに扮した継母からもらった毒林檎を

一口かじり、倒れるシーン。

舞台は終盤に差し掛かっていた。

7人の小人に囲まれ、涙する小人の中に

王子役である永瀬くんが登場した瞬間、

湧き上がる女子の歓声。

廉『おぉ…美しき姫よ…ー』

さすが永瀬くんだ。

王子様役が様になっている。

カボチャパンツが似合っちゃうのも

顔が良いからなのか。

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白雪姫役を決める際、

それはもう争奪戦だったと郁美から耳にした。

中々決まらない姫役に

クラスの女子は更にヒートアップし、

喧嘩も起こり始めていたとか。

結局最後は担任の先生の提案で

抽選にして無事決まったらしいけど。

白雪姫役を勝ち取った子は

この劇をしてる間は幸せなひとときに違いない。

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